DVDも合わせて見るべき
★★★☆☆
先にDVDの『選挙』を見てからこの本を読んだので「ああ、これはあのシーンのことだな」とよくわかった。
本書の構成は、選挙運動時の話がメインとなっており、議員活動についてのエピソードなどは物足りない感じがする。でもまあ、自分も含め、やはり読者の興味の中心は選挙運動なのだろう。
本書を読む限りでは、自民党の選挙運動は泥臭いながらもかなりシステマティックで洗練されているようにも思えるものの(DVDを見た上での感想になってしまうのだが)、実際には「泥臭さをシステム化しただけ」だ。
「選挙」というと聞こえがいいが、本質的には、カネと人手が大量にかかったムラの世話役選びにすぎず、近所の寄り合いにどれだけ顔を売ることができるかが、当落のカギを握る。そこには「政策」の「せ」の字も出てこない。ただひたすら、低姿勢でのお辞儀と握手。
ドイツの映画賞に『選挙』がノミネートされたとき、著者も現地に入り、実際に選挙運動をしていたときのスタイル(タスキに拡声器、ノボリなど)でプロモーションの手伝いをしたところ、それを見た現地の人は、著者のことをコメディアンだと思ったのだとか
やはり、よくも悪しくもそんなものなのだ、日本の選挙は。
日本の選挙ってこんな感じなんだろうなあと、昔から漠然と抱いていたイメージが間違っていなかったことがわかり、そういった意味では、政治には深い失望を覚えるものの、本書には満足。
名前は3秒に1回連呼セヨ
★★★★★
久方ぶりの休みの朝、窓の外から飛び込んでくる「山内、山内和彦を、よろしくお願いします。山内和彦でございます〜」。
知ってるようで全く知らない選挙とイウモノ。「要するに、カネ積めばセンセになれるんちゃうの?」という疑問に正面から答えてくれる本である。
「名前は3秒に1回連呼セヨ!」 あるよでなかったこんな1冊。DVD「選挙」と併せ、必読!!
ドキュメンタリー映画「選挙」の主役が話し出した
★★★★★
ドキュメンタリー映画「選挙」の主役の山内和彦さん、切手・コイン商であり前川崎市議会議員の後日談と、山内和彦さんが覗いた選挙と自民党、川崎市と地方自治です。
懐かしい角川映画CM風に言えば「観てから読むか、読んでから観るか」ですが、観察者としての山内和彦さんの眼が、十分に新書として成立させています。
今現在、評判の決してよくない「自民党」「選挙」「議員」の三重苦のタイトルですが、本書から浮き彫りになり見えてくるものは、当たり前ながら普通の私たちが作り上げた「地域」であり「日本」の風景です。
映画でも描かれた山内和彦さん家族の人柄の良さが醸し出す、観る者(読む者)を癒しながら緩やかな繋がりを作りたくなる面白さが本書にあります。
あなたの街で繰り広げられているであろう街の政治、そしてそれと繋がる国の政治を覗く窓となる一冊です。
2時間で分かる日本型民主主義の実態
★★★☆☆
日本の選挙、特に地方自治体レベルでは、まともな政策論争など皆無だと感じていたが、本書を
読めばそのあたりの事情がよくわかる。
テーマと内容はけして悪くはない。ただ、ちょっとひねりと考察が足りないかな。
市議会の存在意義を問う良書?
★★★★☆
タイトルは反面教師にすべきという意味をこめてつけました。他の方が書かれている通り、著者は政治家を心のどこかで志望していたようですが、本当に政治に興味あるのかな?疑問です。
市議会と市長は本来対立すべき、とある。市長と市議会が対立すると機能しなくなる場合が多い。これは市長選と市議選で民意に差が出るからである。これはあまり好ましくない。より民意を反映したといえる改革派の首長があるテレビインタビューで同席したベテラン議員に喧嘩腰で挑まれもする。行政の比重が強まる現代において市議会の監視する行政とはむしろ民意が反映されていない市組織であろう。
議員バッジが3種類あり任期を終えてもかえさなくていいからお金に困ったら売ってみようかな? 冗談としても笑えない。無駄な経費だからと1種類にして、再選したらまた使うように議案を提出してほしいものだ。
あと市議会選挙に中選挙区という表現はどうかな。高校政治経済の参考書レベルでも大選挙区単記(非移譲式)という語は出てくる気がするが。
批判的な文を書いてきたが、(色々と首をかしげたくなる)市議会選挙と議員活動の実態についてのレポートとしては貴重なものでしょう。よって星4つ