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黄色い風土 (講談社文庫 ま 1-2)

価格: ¥1,120
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
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中盤までの展開は文句なしだったのですが ★★★★☆
 雑誌記者の若宮四郎が、不審な殺人事件の線を追っていくうちに、バラバラかと見えた線が、組織的な犯罪という一本の太い線へとつながっていくストーリー。熱海、小樽、名古屋、真鶴と飛び回りながら、徐々に事件の核心へと近づいていく若宮の調査。若宮の推理を通して、犯罪のヴェールが、一枚、一枚と剥がれてゆくところ。主人公と一緒になって行動しているような臨場感があり、のめり込むようにして頁をめくっていきました。
 中盤までの展開はとても面白かったのですが、終盤、意外な黒幕の正体が明らかになる辺りからの話の展開に、納得がいきませんでした。それまでの方向とは別の地点に向けて、話が駆け足で進んでいって、妙な場所で終わった感じ。一歩、一歩、綿密な推理で組織の牙城に迫っていた若宮の調査の面白味が、唐突に断ち切られてしまった印象があり、そこに違和感を覚えたのです。この変更は、一体どうしたんだろう? 残念です。
 まあ、終盤は納得がいかない展開でしたが、主人公の行動力と推理力によって、バラバラな事件がつながっていくところ、大規模な犯罪の核心へと迫っていくところが実に面白かったので、星四つ。
 1959年(昭和34年)から1960年にかけて、『黒い風土』のタイトルで連載された作品。それをなぜ、『黄色い風土』に改題したのか。作品を読んだ限りでは、この変更の意味は分かりませんでした。
最後のしめくくりはハードボイルド? ★★★★☆
主人公の雑誌記者は偶然に泊まったホテルの部屋で起こった妙な出来事が、
後に国内各地で次々起こる事故・事件(実は殺人事件)に関連していることを突きとめる。

現場に居合わせた利を得てスクープを追い、執念でニセ札偽造団の暗躍をつきとめ、推理を働かせる。身の危険をさらして行動するが、最後は以外な展開が・・

作品中にチラチラ出現する「沈丁花」の香水を香らせる女性の正体もどこで判明するのかも読んでいてドキドキします。

700ページを超える長編ですが、次々と読ませる展開で読者を飽きさせない。
ビショップ・サイクル(悪循環) ★★★★★
別々に起こる6つの犯罪が、実はすべて繋がっていると言う松本清張お得意の一品。

この6つの犯罪が無理なく連鎖し、整合性たるや立派なものだったが、国際紙幣偽造集団の件はやや無理があったかもしれない。しかしながら、場面場面で展開する主人公の心理変化や状況変化は、読者をまるでそこにいるかのような錯覚に陥れ、物語としては飽きのこない展開になっている。
 
現在はこのような物語を書く人が減ってしまったが、清張は面倒臭いと思っている人には是非勧めたい一品。

やや厚い本だが一気に読めて、読了後は爽快で切なくなってくる。
面白い!衝撃の一冊 ★★★★★
主人公は松本清張作品らしく、若い雑誌記者。彼が偶然、電車であるカップルを見かけたところから、話は始まります。
彼の行く先々で様々な事件が起こり、彼はそれを解決しようとするのですが・・・。これだけでは、いつもの清張作品のようですが、この本はちがう。
私は清張作品を結構読んでいるのですが、この本を読んでいる途中からは、いつもと違うような違和感を感じました。
ラストは衝撃的で、最後のページまでドキドキ。読み終えた後は、放心状態になってしまいました。
長編なので、読みごたえがあります。何冊か松本清張作品を読んでから読むと、より面白さがわかると思います。
犯罪連鎖の妙 ★★★★☆
 別々に起こる6つの犯罪が、実はすべて繋がっていると言う松本清張お得意の一品。この6つの犯罪が無理なく連鎖し、整合性たるや立派なものだったが、国際紙幣偽造集団の件はやや無理があったかもしれない。しかしながら、場面場面で展開する主人公の心理変化や状況変化は、読者をまるでそこにいるかのような錯覚に陥れ、物語としては飽きのこない展開になっている。
 現在はこのような物語を書く人が減ってしまったが、清張は面倒臭いと思っている人には是非勧めたい一品。やや厚い本だが一気に読めて、読了後は爽快で切なくなってくる。