さらに第3章では、「そのような教育は可能なのか?」という読者の疑問に答えるべく、著者自らが行なった丁寧な取材に基づいた実践例が具体的に紹介されており、非常に参考になった。特に公立小学校の実践事例はたいへん興味深く、それらを読む限りにおいては、筆者は早期英語教育への単なる批判者ではなく、逆により良い方向に教育を向けていくための強力な協力者たる存在であると言えよう。
本書のあとがきにもあるように、現在筆者は東京コミュニティスクールの校長として、こどもたちに必要な「学ぶ力」を育てることを実践しているらしいが、その報告がもう少し本文中にあれば、より説得力が増したのではないかと思う。次回作に期待する。