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なみだのファインダー―広島原爆被災カメラマン松重美人の1945.8.6の記録

価格: ¥1,350
カテゴリ: 単行本
ブランド: ぎょうせい
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写真集としてではなく、ドキュメンタリーとして見つめたい。 ★★★★☆
1945年8月6日に氏によって撮影された写真は6葉にすぎない。

だから、本書に登場する写真も数少ない。
写真を期待するよりは、その日に現場で何があったのか。
そして、その現場はどういう惨状であったのかを知る資料と捉えるのが妥当でしょう。

頭に包帯を巻きながら懸命に罹災証明書を書く警察官の姿。
彼の家族は大丈夫だっただろうか。

写真を通じて、そんな思いを寄せながら、目をそらすことなく見て欲しい。

ただ、写真集として期待する部分もあるので、☆は4つにしておきましょう。
被爆者の撮影をしたときの心理 ★★★★☆
 原爆投下について、投下後になってから、その理由が様々に議論されているが、原爆投下実行者たちはとりたてて投下の是非を議論していない。これは、都市無差別爆撃の延長線上にあるからである。すでに、B-29によって大規模な無差別爆撃が実施され,大量破壊・大量殺戮が行われていた。そのような中で,原子爆弾は、驚異的な破壊力を持つ秘密兵器ではあるが、それがもたらす被害については、大規模な通常爆撃と大差ない----このように考えられていた。
 被爆直後の広島の中心地を訪ねた松重氏は、たまたま出勤が遅れたために、命拾いしたようだが、そこで多数の被災者を見る。報道員としてファインダーをのぞくと、被災者たちがこちらに目を向ける。このように、カメラマンの視点で、被災地を訪ねた松雄氏の、当時の心の動きが、臨場感を持って語られる。報道という仕事は、被災者救護とは無縁で、冷酷な心になりきることで、被災者を「被写体」に転化してしまう。私は、そのように、思っていた。戦争報道カメラマンが、一枚の写真で出世することを選択した、冒険野郎のように感じていた。要するに、苦しんでいるものを撮影して、自分の個人的利益にするいかがわしい人物のように、思っていた。たしかに、そのようなカメラマンも居るであろう。しかし、松雄氏の報道陣の姿勢は、5枚の写真しか取れなかったこと,平和を熱く語る中にもあらわれているようだ。「涙で曇るファインダー」がそれを象徴するように見えた。