初期作品の異様
★★★☆☆
神林長平の初期短篇6本を集めたもの。
1985-89年に『SFマガジン』、『SFアドベンチャー』、『SFイズム』に掲載された「渇眠」「痩せても狼」「ハイブリアンズ」「兎の夢」「ここにいるよ」「鏡像の敵」が収められている。
ただし、「渇眠」「兎の夢」「ここにいるよ」は『時間蝕』に既出。
初期から変わらぬ芸風だなあと確認させられる。本当に異様なアイデアが目立つし、とりとめのないわけのわからなさも強烈だ。
そういう意味では、神林作品を読み慣れた人が戻っていくと、清新な印象を持つかも知れない。
独特の世界
★★★★★
たまたま手に取った作品。
でもなんだか遠い未来にありそうな人間の設定は
なぜか私には合いました。
特によかったのが「ここにいるよ」です。
残念ながら再録作品ですが現実から一気に非現実へと
変化していく作風はとてもすごいものがあります。
そして最後の神秘的さにも。
ただし、この作品も
結構SF的な要素が強めなので
初めてSFを読む人にはあまりお勧めしません。
★★★★☆
SF作家、神林長平の、雑誌には掲載されていたけど、今まで単行本には収録されなかった短編を含む初期作品集。
今は絶版になっている「時間蝕」に収録されいる作品3編含む。
作品の中ではタイトルにもなっている「鏡像の敵」の迫力は圧巻。自分の信じている世界や自己の存在は実は…、という神林長平得意の展開。
自らが「シュレディンガーの猫」になったような世界観はまさに初期の神林作品によく見られた作風。
自分的には「時間蝕」は単体で再販し(未収録作を追加)、新たに未収録作ばかりを集めた作品集がよかった。
『時間触』マイナス1、プラス3
★★★★☆
~本書は、1980年代後半に書かれた非シリーズ物の短編集である。全六編。
ただし、かつて同じハヤカワ文庫JAから刊行された『時間触』から「酸性雨」を除く三編、
「渇眠」「兎の夢」「ここにいるよ」が収録されているので、すでに『時間触』を購入済みの人は注意されたい。
残る三編は、
「痩せても狼」「ハイブリアンズ」「鏡像の敵」
いずれも神林長平~~ならではの作品なので、ファンには堪えられないだろうが、初心者向けではないだろう。他に何冊も読んで気に入って、もっと読みたいという人にお勧めしたい一冊である。
なお、解説は、ライトノベル作家の桜坂洋。これがなかなかよく書けているのも、ポイントが高い。
とはいえ、前述のように『時間触』収録作から「酸性雨」が抜けているのは、痛恨の極み。$N~~$よって、星4つどまりとさせていただく。~