ふつうの国公立大学に入れる学力があれば（つまり高校生でも）寝転びながら読めます。

このシリーズは教科書として使うより予習用のサブテキストとして使うのがいいのではないかと思います。

かなり厳密性を捨ててありますが、その分イメージ化に重きを置かれていてこの分野に対する取っ付きにくさをとっぱらってくれます。

ただ、この一冊を読み終わったところで自分自身が具体的に問題を解いてないこと、証明をきちんとしていないことに代わりはないので、この本で分野全体を俯瞰した後問題を解くことや細かい証明をしていくことは、習得するためには必ず必要です。

あと、Tea Timeにものすごく大事なことが書いてあったりするので、寝転びながらといえどすべてのページに目を通すことは意味の有ることだと思います。

志賀先生の30講シリーズの中で最高傑作だと思います。

タイトル『複素数30講』の名の通り最初のほうは複素数にスポットを当ててわかり易い説明がされています。後半は立派な関数論の話です。どこをとってもイメージと厳密性のバランスが絶妙です。

ただし、関数論の教科書と言っていいかは少し疑問です。というのも、本書に載っていない、あるいは載っているが「Tea Time」で触れられているだけという関数論の基本事項もあるからです。演習問題がないのはまあ置いておいて。。

とは言ったものの、この本だけでも留数のあたりまでは十分イメージが掴めますし、例えば、実関数の定積分を複素積分で計算する原理なんかも会得できるでしょう。

若干値段が高いのが玉に瑕ですが、名著と言っていいと思います。

一般に，``定理を理解すること''とは，その定理の証明の仕方を理解すること，かつその定理の幾何学的イメージをつかむことのように思われる．

しかるにこの本は，複素解析において現れるさまざまな抽象的な定理に関して，ある程度厳密な(しかし，極めて平易な)証明を与え，かつ幾何学的イメージを与える．

したがって，この本は読者に定理を理解させてくれる本である．

「なっとくする虚数・複素数の物理数学」の次に買った。アプローチは分かりやすいのだが、式を追っていくと、急に直感的に分かりにくい式が当たり前のように使われていたり、本文ではないはずのコラムの式を引用したりと、私のような初心者にはとまどう箇所が多々あった。「なっとく」より一歩踏み込んだ内容だけに、難しいのは仕方がないのだが、上級者の当たり前を安易に導入してしまっている。分かりやすい説明も多いだけに残念だ。

私がテスト対策に読んだ複素数の本です。内容は複素数の歴史的な成り立ちからはじまって、リーマン面、微分、積分、最大値、留数など一通りあります。とにかく直感的に理解させることを目的にしているようで、独特な図が各所にあり、理解を助けてくれます。はじめて複素数をやってもなんとかついていけるレベルだと思います。

ただし演習問題がまったくないので他の参考書でそこは補強しなければなりませんが、入門書としては十分合格点だと思います。