石ノ森氏がんばる
★★★★☆
天皇家、摂関家、武家それぞれが家中で争っている。親兄弟で相克している。
保元の乱・平治の乱で、院政のねじれ、藤原摂関家の剥落、武家の台頭が顕著になってきたのだ。
本書でもって石ノ森氏が描くのは、ときめく源氏ではなく、政治的にうまく渡り歩く、平清盛のことを中心にすえていると感じた。それはそうだろう。絶頂期を向かえ官位はそれほどでなくとも、皇族や藤原家のもと繁栄していた源氏。
同じ臣籍降下した平氏としては、長く忍従の期間が続いたことだろう。清盛の父の代あたりから、藤原家の荘園管理を任され始め、実験を握った清盛はその藤原家の権益を基盤に、飛躍的な力を得るのだった。