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ロベール・ブレッソン DVD-BOX 2 (スリ/バルタザールどこへ行く/少女ムシェット)

価格: ¥15,120
カテゴリ: DVD
ブランド: 紀伊國屋書店
Amazon.co.jpで確認
ブレッソンはカラー作品も超一流 ★★★★★
BOX1の布陣をこの3作品に決めた選者の見識の高さには、頭が下がる。

他に詳しいレビューがあるので、詳細は省くが、『湖のランスロ』は音の使用法(リズムの創造)に関しては、ブレッソン随一といっても過言ではない。
『やさしい女』や『白夜』も観ているが、そこではまだ色彩の使用に確信を感じなかった。しかし、カラー4作目の今作では、完璧に使いこなしている。
映画監督以前に画家であったブレッソンの、修練の凄みを、観た気もした。
ブレッソンの作品では、個人的に最も再生数が多い。

『たぶん悪魔が』は、しっかりと現実を見つめた、ドキュメンタリーの印象すら受ける作品である。世界の変化(人間による破壊)に恐ろしく敏感で、この作品は一人の鋭敏な視野を持つ人間として、ブレッソンが製作せずには居られなかった作品だったのであろう。
ファーストシーンとラストシーンのメッセージには、(余りに見事な表現に)狂喜すると共に、戦慄せざるをえなかった。
そして、ブレッソンの他のどの作品よりも、主人公に共鳴した。
現代の若者に襲い掛かる、多くの受難を示すとともに、余りに地球の未来を予見して見事である。公開当時よりも現在の方が、そして今後、ますます価値を高める作品に違いない。

『ジャンヌダルク裁判』は、アイヴィーシー版よりも、映像が格段に素晴らしい。明暗がくっきり浮かび上がり、映画の主題をより強く感じることが出来た。
ジャンヌダルクは様々な監督が映画化しているけれど、もちろんこのブレッソン版が他を圧倒している。名作の誉れ高いドライヤー版も、紀伊国屋の素晴らしいリマスター版があり、所持しているけれど、ブレッソン版ばかりを観てしまうため、埃をかぶっている。
実在の(それもジャンヌ・ダルクという)人物を扱うがゆえに、一切の無駄を排除し、正確な記録の残る裁判のみに焦点を当てたこの作品は、ブレッソンのモノクロ作品の中でも異彩を放っている。観るものに感情の抑制を促すと同時に、深い思考を要求する。
レジーヌ・ペルヌー女史の書籍を併せて読むと、さらに思索が深まるので、おすすめしておきたい。
そして特典映像は、ブレッソン演出の一端を知ることが出来て、感無量である。

これらの作品を二十代で観ることが出来たことは、私の人生において、大きな「事件」だった。この場を借りて、このBOXに関わった紀伊国屋書店のスタッフの方に、お礼申し上げたい。
ありがとうございました。
心を打つストイックな映像 ★★★★★
映画監督になる前は画家だったロベール・ブレッソンの貴重なDVD-BOX第2弾。収録されているのは「スリ」、「バルタザールどこへ行く」、「少女ムシェット」の3作品。どの作品も台詞や音楽を抑え人間の内面を鋭く切り出したストイックな映像で綴られているところが最大の魅力(これがブレッソンらしさか)。そんなブレッソンの魅力の詰ったBOXだ。

「スリ」
何気ない日常においてスリに手を染めていく青年の日常の崩壊を描いた作品。初めて観たときに感じたのは、観終わった直後は「これだけ?」という物足りなさだったが、時間がたつにつれジワジワ作品の魅力がしみこんでくる不思議な感覚を体験した(これがブレッソンの素晴らしさか)。スリのテクニックを表現するストイックな映像。そして、心に残るラスト(ラストのマリカ・グリーンは最高の演技で当時16歳とは思えない魅力だ)。文句なしの逸品。

「バルタザールどこへ行く」
キリスト誕生の際に馬小屋に訪れる東方の三博士の一人「バルタザール」の名を付けられたロバを通して人間の欲や愚かさを描いた作品。キリストが人々の罪を背負ったように、バルタザールも人間の愚かさを見つめ続ける。だから、劇中に「聖なるロバ」と言われるロバが羊に囲まれて膝をおり横たわるラストは何とも神秘的。

「少女ムシェット」
個人的には収録されている3つの作品の中では最も気に入っている作品。
アル中で、密造酒で生計をたてる父親、病気の母親、極貧のなか学校でも孤独なムシェット(ナディヌ・ノルティエは野性的な目が魅力的)。彼女の同級生や教師に対する反発は身にしみてわかる。彼女に一時的にも唯一優しく接してくれた密猟者との関係は最後に彼女が「彼の愛人」だと言わしめるほど深い(特に密猟者がテンカンで倒れた時のムシェットは「聖母マリア」と重なる)。
母親が死に悲観にくれるムシェットの最後にとった行動も、ブレッソン流のキリスト教的な表現で自然に語られ、心に残る。


よきかな ★★★★☆
以前は入手困難でそれぞれプレミア状態となっていた3タイトルが装いも新たに再発されました。
うれしい限りです。いずれも過去のものより画質が格段に向上しており、時代の流れを感じさせます。

『スリ』過去に発売されていたものはジュエルケース(CDサイズケース)字幕焼付け、等
いささか難があったソフト化だったのですが今回は画質も大幅に向上、半世紀近く前の作品とは
思えないほどです。映像特典のブレッソンへの公開当時に行なわれたインタビューやドキュメンタリー
(主演のマルタン・ラサールやマリカ・グリーンを尋ねインタビューするというもの)など、
大変興味深いものでした。

ただし、残念なのは本ボックスセット中『スリ』のみPAL変換の早回し版であること(本作品は
モノローグが多いのですが聞きなれた主人公の声が鼻をつまんで早口で喋ってるみたいで残念)
これは意図されたものと思しいのですが、ラストの台詞が些か直訳調になっていたように感じたことです。

他『バルタザールどこへ行く』は以前スタンダード・サイズで発売されていたものにくらべ
今回の16:9収録版(所謂“スクイーズ”)画角が削られていました。マスターは定評のある
ヴォイジャー社のクライテリオン盤を使用(『少女ムシェット』も同じく)しているので
過去のものに較べ画質は向上しています。個人的には『少女ムシェット』が一等商品的に
問題のないソフトと思えます。いずれにせよブックレット、統一されたジャケットデザイン等
作品に対しての愛情を感じるので、是非第3弾『白夜』『やさしい女』が収録されれば最高)
を期待してやみません。
作品の評価じゃないですが。 ★★★★★
画像では分かりづらいですがシリーズ化されている様です。
大きな画像だと、BOXの下の方に小さく「1」の文字が確認できます。
座して続きのBOXを待ちましょう。

追記:
紀伊國屋書店のサイトにて「2」の情報を確認しました。
08年5月発売、気になる収録作は、
『バルタザールどこへ行く』『少女ムシェット』『スリ』
以上3作とのことです。
よきかな ★★★★☆
日本では1999年東京国際映画祭で上映されたのみで,半ば幻の作品と化していた
『湖のランスロ』『たぶん悪魔が』の初DVD化。中古市場で高値がついていた
『ジャンヌ・ダルク裁判』のブレッソン作品としては珍しく特典映像付きで復活。

3作品ともPALマスター使用の為本来の再生速度ではなく『たぶん〜』がスタンダード
収録仕様である等100%満足とはいえないものの,ブレッソンの未公開作品が
日本で容易に視聴できる環境が整ってきたことは喜ばしい。

『湖のランスロ』…アーサー王と円卓の騎士や聖杯探求のお話について知識を持ち合わせて
いない人にとっては,唐突に展開される血みどろの戦闘や延々と続く馬上槍試合,色鮮やかな
騎士たちのタイツ姿にキテレツな印象を持たれるかもしれませんが,異様な迫力に満ちた画面の
迫力には驚愕しました。ブレッソンが映画化を夢見てきた企画だけに鎧、武具、馬、
人物、細部に至るまで氏の執念が感じられます。16:9収録。画質は並。

『たぶん悪魔が』…自殺願望青年の彷徨と現代社会を憂う若者たちの,なんとも陰鬱な
物語に,何と輝きが満ち溢れていることでしょう。劇中挿入される,水俣病患者や
毛皮のために撲殺される赤ちゃんアザラシの映像の齎す衝撃。劇場公開が強く望まれます。
画質はスタンダード収録乍ら30年前の作品ということを踏まえても良好の部類。

『ジャンヌ・ダルク裁判』…特筆すべきは,3種類の映像特典が収録されていることでしょう。
ブレッソンの貴重な生前の映像もさることながら,ジャンヌを演じたフロランス・ドゥレが
撮影に使われた独房を再訪する映像中彼女の口から率直に語られる言葉(知性を感じさせる
素晴らしいもの)が,物語の概要を掴むうえで助けになりましょう。本編については,16:9
対応。画質は並。PAL変換(62→65分)。

それぞれの作品には細川晋,堀潤之両氏執筆によるブックレットが付属。資料的価値が高く
充実しています。物語や作品の背景に関し丁寧に解説がなされブレッソンを理解する上で
大いに役立つ事でしょう。