インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

ラルジャン [DVD]

価格: ¥5,040
カテゴリ: DVD
ブランド: 紀伊國屋書店
Amazon.co.jpで確認
極限まで無駄を削ぎ落として問う「真実」 天才ブレッソン有終の美 ★★★★★
まず、「音のためにはますます映像を犠牲にしても良いと思うようになった」というブレッソンの言葉を引用し、その言葉を表面的に受け取ることで『ラルジャン』に低い評価を下している方がいらっしゃいますが、ブレッソンの意図は「表情や仕草などの映像情報をますます犠牲にすることで、これまでの作品よりもさらに音の役割を重視し、登場人物達の内面をより深く描こうと思うようになった」ということであり、単純に「映像<音」という意味ではありません。

付属の解説書に記載されているブレッソンのインタビューでの回答が、自作の意図を、とても解りやすく説明していますので、そこからほんの少しだけ抜粋し紹介します。

「私が求めているのは、描写ではなく事物のヴィジョンなのです」
「私は音を映像にではなく映像を音に慣らします」
「この映画は自分たちとその家族のことしか考えない現代の人々の無意識の無関心に抗って作られた」
「人々にとっても国家にとっても、重要なのはお金だけです。人間や物の価値は今日では、二つの問いに還元されています。その人物は金持ちなのか。それは大金に見合うのか。地下鉄の中で『フランスで最も売れた電子レンジ』というポスターを見て唖然とさせられました。必ず<ベストセラー>という発想がある。最も観客を動員した映画こそ最良の映画。そう、我々はそこまで来たのです。それがお金というものです」



『ラルジャン』の鑑賞には、「考える」こと(「参加する」こと)が求められます。
映画を観るときくらい「現実のことは忘れて何も考えずに楽しい時間を過ごしたい」という方には、おすすめできません。

相手(ブレッソン)の考え方を理解することが出来れば、最高に面白い映画です。
凄い ★★★★★
この映画は恐ろしい作品でしたね たった一枚のお金それが男を破滅に導いていく作品。
全編音楽無しで綴られる人間の欲と罪 変わっていく社会を徹底的なリアリズムで捉えた素晴らしい傑作。
ここではあまりにも過大評価されている ★★★☆☆
 ような気がします。頭で映画を見る人たちはこういうのが好きなのかもしれませんね。私は蓮見重彦氏の言葉に心動かされたという経験は全くないです。軽蔑してはいませんが、尊重もできない。
 IMDb(Internet Movie Database)での投稿時における評価は7.6(10点満点、1,080 voters)です。決して低くはありませんが、さりとてここで皆さんが仰っているほど高い評価でもありません。ちなみに『抵抗』、『スリ』はいずれも8.0です。エリセの『エル・スール』が8.5、小津安二郎の『麦秋』が8.4です。あくまでも大衆による人気投票ですから、ここでのレビュー同様、あくまでも参考資料に過ぎませんが。
 監督は当時「音のためにはますます映像を犠牲にしても良いと思うようになった」旨の発言をしていたと記憶しています。まぁ、良くも悪くもそういう監督の映画だと思います。同時期製作の映画では、ハンガリー映画『ザ・バルチャー/哀しみの叛逆』(1982年、IMDb評価は8.6)があります。似た肌触り、味わいだった印象がありますので、好きな方にはお勧めします。(私の個人評価は両作品とも6点です。)
リアル・おとぎ話! ★★★★★
登場人物のことごとくが感情の爆発を許されず、まるで部品工場の機械化された流れ作業のように人生が推移していく。人物の存在感を等価にすることで、このふざけた人生ゲームで次に自動落下する権利は全員が有していることを知らせる。つまり全員が容疑者なのだ。それは現実社会においても同じで、そこには一切の是非もない。実際に我々はタチの悪いおとぎ話の中で暮らしているのだ。 …というような事を考えさせてくれた、この映画はまぎれもない傑作である。
映画の通念をはるかに超えている ★★★★★
‘86年にシネヴィヴァン六本木の単館ロードで観ましたが、終わった直後、観客が少しどよめいていたような記憶があります。原作がトルストイと知っていましたが、終わってからドストエフスキーの記憶違いだったかなと思ったほど、違和感を覚えました。それもそのはずでした。原作小説の後半の、主人公が信仰に目覚め改心する話が、映画では完全にカットされているのです。
それまで物語の流れに身を委ねる観客として観ていたものが、このような終わり方で、突然、実際に起きた出来事の中にとり残されたような落ち着かない気持ちになりました。観客が無意識的に期待する“予定調和”の裏をかくというレベルを超えて、映画芸術そのものに対するアンチテーゼを示しています。80歳を超えてこの作品を作ったブレッソン監督は、映画の通念をはるかに超えたところにいたのだと思います。