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冬の犬 (新潮クレスト・ブックス)

価格: ¥1,995
カテゴリ: 単行本(ソフトカバー)
ブランド: 新潮社
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1人でも多くの方に読んでほしい小説 ★★★★★
いままで多くの小説を読んできましたが、その中でも何度読んでも心に感動がある本は数冊です。その中の一冊。
この小説の中には、家族も、誕生も、子供時代も、成長も、死も、愛もあり、その一つ一つが極めて個人的に、そして普遍的に書かれています。
この地理的にも限定された場所で展開される家族の話題を読み進める間に、自分の家族とは?大切な物事とは?と考えさせられました。
やさしい気持ちになりたいとき、多少大げさですが、人生で起こった出来事に意味を与え整理したいとき、読んで頂きたい本です。
過酷で豊かな自然の中で ★★★★★
大抵の人々は、自分が歴史を形作っているなどと夢にも思わず暮らしている。
しかし、そういう人々こそが、本当は世の中を作り、そして歴史を作って行く。
アリステア・マクラウドによる8篇の短編は、そんな人々が主人公だ。
イギリスや米映画でお馴染み(最近はフラ・ガールでも)の、寂れ廃れていく炭鉱町の炭鉱夫たち。
同じく衰退していく漁業に従事する漁師たち。
風光明媚で知られ、日本人が憧れるカナダの片隅を舞台に、この小説では格差社会の過酷な人生が描かれている。
教育、知識によって隔絶する親子。
また、教育、知識によってでしか、這い出せない貧しさ。
血が繋がっているからこその閉塞感、通じない心。
流麗な直喩が多用され、生活の細部が瑞々しく活写されている一方で、冷徹な現実も逃さない。
その作家の思いのエッセンスが詰まっている気がして、私は基本的に大抵の作家の初期の作品が好きだ。
寡作で有名な彼、マクラウドにもそれが言える。
この前期短編集は、本当に素晴らしいと思う。
素晴らしい短編 ★★★★★
アリステスさんはかなりの寡作な方で31年で16篇の短編と1つの長編を出しているだけだそうです。

短編の舞台はほとんどどれも、カナダにある小さな島を舞台にしています。そしてそこに息づく自然と人間と動物、そして起源である先祖のハイランダー、スコットランドについてと、その言葉であるゲール語に重みを置いた小説です。「島」はアリステスさんの中でも完成度が高い短編だと思いますし、好きな話しです。北国の寒い環境と人間の業のようなものと歴史と起源などを織り交ぜた静かだけれど激しい(矛盾した表現なのですが、私にとってはまさに静かだけれど激しいとしか表現しようのない)素晴らしい小説でした。 何故か私にはガルシア=マルケスが思い出されるほどスケールが大きく(もちろん良い意味で)、それでいて小さなささやかなものにも温かみのあるまなざしを向けられているレイモンド・カーヴァーのような(もちろん良い意味です)愛着も感じられるのです。そして人間ではない生き物がどの短編にも重要な役割を与えられていて、動物好きな方にもオススメです。短編好きな方には是非。


好きな作品は表題作子供の頃の犬との思い出がよみがえる「冬の犬」、男と大きな灰色の犬をめぐる伝説「鳥が太陽を運んでくるように」、子供の頃に聞いた話しが不思議な重なりと光を当てられる「幻影」、燈台守としての一生を送ることの物語「島」です。


しかし中でも私個人が最も気になった、皮膚的にショックな作品は「完璧なる調和」です。無骨で不器用な男の孤独、それも手に入れた幸せを失ってからの孤独と、伝統と詩と歌声、それに関わる親戚とささやかな喜び。どの短編も非常に上手いですし、綺麗でスタイルもありますが、私にとってのこの「完全なる調和」は他のどの作品よりもずば抜けてよかったです。他の人がどう感じるかは分かりませんが、とてもショッキングな、忘れられない短編でした。



短編小説が好きな方、動物が出てくる物語が好き方に、オススメ致します。
息づかいが聞こえてきそう ★★★★☆
8月の東京で冷房もない自分の部屋で読んでいたのですが、読んでいる間はうだる暑さを忘れました。本のタイトルになっている『冬の犬』なんて、まるっきり厳寒の中でのお話で、背筋が寒くなります。

短編集で犬をはじめ、羊、牛、馬といろいろな動物が出てくるのですが、まるでにおいをかげるほど近くにいるような感覚にとらわれるくらい、著者は彼らの生態を絶妙に描き出しています。

人の行動も含めて描写が生々しいのですが、読み終えると何かおとぎ話を読んだ後のようで、とても不思議な印象を持っています。

生き生きと、みずみずしい、けれど厳しい自然と現実 ★★★★★
「赤毛のアンブーム」で観光客が増える前の、カナダ沿岸部。
生き生きとして、みずみずしい描写だけれど、
単なる、美しい自然への礼賛ではなくて、
そこに暮らす人々に試練を与える過酷な環境。
その厳しい寒さや孤独を舞台の上でリアルに描かれる、
人間と、動物たちの生と性。
大人も子供も、当たり前のように命と向かいあって生きている、
と紹介すると、文体やストーリーは無骨なイメージを
持たれるかもしれませんが、実に洗練された、趣味のよい世界です。