アユの「今」から「未来」につなげる保全管理の啓蒙書
★★★★★
東アジアに生息し、さまざまな環境に適応して生息するアユの過去から現在の生態、そして未来への保全管理について集団遺伝学的研究を通して提言した啓蒙の書である。本書は、アユのルーツに始まり、海産アユと湖産アユ、希少種リュウキュウアユ、ダム湖陸封アユ、島嶼部のアユ、朝鮮半島および中国のアユについて、遺伝子解析により明らかになった研究成果を平易に紹介している。また、アユ放流事業の実際と問題点、健苗性にかかわる遺伝的、環境的要因について解説し、今後のアユ資源の保全・管理のあるべき姿について提言している。巻末には、集団遺伝学の解説、DNA解析マニュアル、水産庁のアユ種苗放流指針、参考文献が付録として添えられており、アユについて関わりを持つ人の必携の書である。