名手の邂逅
★★★★☆
イタリア出身のトランペットの名手、エンリコ・ラヴァとECMを代表する知性派ギタリスト、ジョン・アバークロンビーが組んだ名作です。1975年発表。
エンリコ・ラヴァとアバークロンビーはECM以前にも共演を果たしていると思いますが(イタリア原盤。残念ながら廃盤)、ここではECM特有の透明感と浮遊感の中で、2人の名手が自由奔放に飛び交っています。エンリコ・ラヴァはあくまでもトリッキーに音の空間を放浪し、それを支えるアバークロンビーによる独特なサスティーンフレーズが醸し出す浮遊感がさらに幻想的な音の世界を現出します。バックのリズム隊はパレ・ダニエルソン(ベース)とヨン・クリスチャンセン(ドラム)というやはりECMを代表する名手2人。このアルバム自体はECMの中でもあまり知られていないようですが、中期ECMのイメージを形成するうえで大変重要な作品です。やはりエンリコ・ラヴァとアバークロンビーが組んだ「The Plot」もお勧めです。