YMO賛歌?(参加)
★★★★★
「この時代のYMO近辺の音作りが好きだ」という人で、「だけどまだ加藤和彦のソロまでは聴いていない」という人には、まずこのアルバムをおススメします。それだけの名盤だと思います。また、加藤さんの声に馴染みが無い、という場合にも、このアルバムならすぐに応えてくれるでしょう。それだけ「音」がいいんです!
加藤和彦の金字塔
★★★★★
しかし全面バックを務めるYMO陣営のミュージシャンとしての
技量は、この時期見事な高みに至っているとしか言いようがない。
世界中見回してもこんなに趣味的かつ恍惚感にあふれた楽曲をば
完璧にこなせるのは彼らだけだったろう。
加藤氏のボーカルははっきり言って・・・ヘタである。
聞きようによっては確かに・・・気色悪いかもしれない。
けどこの作品を他のどのようなボーカルに置き換えれば良いかと
いうとあてはまるものを見つけるのも困難だし、この個人的趣味
の極地ともいうべき音楽に最も適した声は、やはり加藤氏自身と
相成ってしまう。
歌詞の内容もなぁ・・・「オー・ボンサワール!ムッシュK」
なんて言われちゃうのを平然と歌える神経俺にはわからん。
思えばフォーククルセイダーズ時代からミカ・バンドを通じて
又最近の活動も含めて「シャレ」の人であった。
かつて泉谷しげるが「おしゃれ」について
『そんなもの“お”を除けば、ただの“シャレ”じゃねえか』
と言ったことがあるが、たぶん加藤氏も同じ意見ではなかった
ろうか。
一流の趣味人かつ一級の洒落者の作り上げた栄華と廃退の香り
漂う音楽。好き嫌いはあるにせよ邦人ロックミュージックの
金字塔だと思う。
追悼!トノバン
★★★★★
ちょっと気味が悪いのだけれど、約一週間位前から、何故だか自分でも説明が出来ないのだが、無性に、かつて良く聴いた加藤和彦の音楽が聴きたくなっていた。
久しぶりに“American Bar”やこのアルバムではないが、“あの頃、マリーローランサン”、“ノスタルジア”“ダシールハメット&ポップコーン ”などを懐かしく聴いていた矢先の訃報…。
自分にとって既に加藤和彦は過去の人であった。過去を懐かしむ対象であった。
そのファッションに対する考え方〜英国の服は、和服と同じようにウラ地に拘る、見えないところに『美』を見出している〜、音楽もその様なファッショナブルな、あたかも一つのモードの様に、まるで、その日の気分で服を着替えるように、ある時は、Ecole de Paris ある時はVenezia、ある時はNew York、ある時は、Hemingway のBahamas、ETC‥であったのかもしれない。
ただ、一見、時代も場所も異なるコンセプトながら、丁度、服にも様々なVariantがあっても「ウラ地に拘る」というスタイル、美学には一貫性がある場合のように、一種の品性を持った、スノビズム、粋、洒脱という「美学」では一貫した音楽的色彩を持っていたように思われる。
直に接した人達の話からは、それが音楽、ファッションに留まらなかった様が窺える。
海野弘の文もすばらしかった
★★★★★
ジャケットに添えられた海野弘の文章も、解説などではなく20年代のパリを活写しており秀逸です。すばらしい曲と文章が一体となっています。
80年代セレブ夫妻の超バブリー盤、ステキ!
★★★★☆
ヨーロッパ三部作という、この一連、マッスルジョーンズ、ベルリン、と旅をして、ついにはパリ録音である。
海外録音盤と言っても、当時は日本円がエラかった。
アイドルちゃんのような歌手でも、ロスでもロンドンでも行って、
現地ミュージシャンと録音するというのはよくある話だったのだが、
日本ニューウェーヴ界(はず、死語)の隠れドンたるトノバン氏のそれは、楽団を引き連れて合宿するのだから半端無い。
封入のご本人筆のライナーにはその辺のくだりがあって、いきなり、ベルリンでは「細野くんが.......」
ほその「くん」ですよ、あの傲慢なタツロー氏でさえはばかる巨人オータキさんでさえ、元のバンドメンバーである氏を「さん」付けで呼ばわっていたはずであり、
かの、ハリー氏を「くん」づけで呼んで、最も忙しかったであろう80年代に世界を連れ回せるのはやはりこのトノバン氏しかありえないのである!
閑話休題、この世界合宿旅行三部作中の最終編たる本作がもっとも豪華絢爛たる、ユーロテイストが極まっているといえよう。
こういう酔狂というか、三昧というか、おそらく夫婦共稼ぎのなせる技ではないか。こういう夫婦だからこそ「かるいごちそ〜パンとチーズとサントリーワイ〜ン」が活きてくる。
かっこいい、おじさんでした、加藤さん。
おそらく20年ぶりに聴いた、と思われる。
いま聴いてみると、
American BerはYMOのC-Moonであり、ネグレスコでのご発展はHAPPY END、浮気なGIGIはバレエまたは音楽の計画または千のナイフであり、激しくYMOが香っている。やはり、影のドンなのである。