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血の流れるままに (ハヤカワ・ミステリ文庫)

価格: ¥1,029
カテゴリ: 文庫
ブランド: 早川書房
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“体制”という困難に立ち向かう一匹狼リーバス警部 ★★★★☆
現代英国ミステリー界を代表するイアン・ランキンによるスコットランドはエジンバラ警察の<リーバス警部>シリーズの第7作。邦訳されたのは、第8作で’97年度、英国におけるミステリーの頂点、「CWA(英国推理作家協会)賞」ゴールド・ダガー賞、(最優秀長編賞)を受賞した『黒と青』についで2作目だが、本国の発表順ではひとつ前の作品となる。’99年、「このミステリーがすごい!」海外編で第9位にランクインしている。

時は厳寒期のエジンバラ。書き置きを遺して家出したエジンバラ市長の娘の誘拐犯と名乗るふたりの青年たちとリーバスとその上司の激しいカーチェイスのシーンで幕を開ける。追い詰められた彼らは橋の上から川に飛び込んで死んでしまう。時を同じくして、銃身を短く切ったショットガンを持った釈放されたばかりの元服役囚がエジンバラ区会議員のもとを訪れ、それを口にくわえて自殺する。

リーバスは、一見何の関係も無い3つの死を調べるうちに、なぜか上層部から休暇を言い渡され、各方面から捜査中止の圧力がかかる。そんなことでへこたれないリーバスは部下を内密に協力させて捜査を続けるのだが、そこにはエジンバラを含めたスコットランドに関る大規模な汚職があったのだ。

この物語の読みどころは、「謎解き」の興趣はさておき、何者も曲げることのできない不屈の正義感をもったリーバスが、社会の病巣とでも言うべき巨悪に立ち向かい肉薄する過程であり、“体制”という巨大な権力に対して一匹狼としてひるむことなく闘いを挑む姿である。

本書でイアン・ランキンは、従来の本格謎解きスタイルに重きを置いた伝統的な英国警察小説ではなく、ハードボイルド・アメリカ私立探偵的要素を取り入れ、強烈な個性を持ったリーバスを主人公に据えて、独特のミステリーワールドを作り上げている。
英国の刑事小説もいいですね ★★★★☆
リーバス警部シリーズ第7作。(邦訳では2作目)
市長の娘が誘拐された。容疑者の乗った車を追跡するリーバス。しかし、追いつめられた彼らは橋から投身自殺する。同じ頃、区議会議員を襲った元受刑者が、議員の目前で持っていた銃で自ら命を絶ってしまう。捜査を進めるリーバスだが、横やりが次々と入り・・・。

このところ身辺が忙しくて、読むのに時間がかかりました。読書を一度中断すると、登場人物の誰が誰やら分からなくなるていたらく。
重たい雰囲気のエジンバラの冬、政治的な圧力に一人立ち向かうリーバス警部はかっこいいですね。
アメリカの警察ものとはまた違った面白さです。
姑息な受けを狙わないロックな傑作 ★★★★☆
本格推理小説としては謎解きにワクワクしない問題外の作品。
警察小説としては並。
ただし、キャラクタ小説として、
この作品のキャラクタには萌えた。
主人公の刑事は、上司や市長や代議士や、
大臣さえ顎で使う超エリート官僚に捜査を止めろと
圧力かけられても、
「殺人事件なんだぞ!人の命は何よりも重い!」
と、失職、自分の命の危険も省みず、
捜査を続行し、
資本家、政治家、官僚に立ち向かうナイスな男です。
国益の為なら人一人の命なんて犠牲になって当然だと
思っている権力者たちに立ち向かう主人公はデラかっちょええ!
ローリングストーンズのファンの本物のロックな男。
被支配階級の弱い人間の味方をして、
支配者達にも立ち向かうナイスな刑事というと、
マイクル・コナリーの“ハリー・ボッシュ”とキャラが被るが、
“ハリー・ボッシュ”より、私はこのシリーズの主人公の
ジョン・リーバス警部とお友達になりたいです。
ロックなジョン・リーバス警部は、
うっとおしいというそれだけの理由で、
猫を殺してしまう素晴しい男である。
猫殺しの犯人に間違われたリーバスの娘が、
リーバスに泣きついて、
「可愛い猫ちゃんを私が殺すわけないじゃないの!」
というんだが、リーバスが白々しく、
「誰かが意図的に殺したのではない、不幸な事故だよ」
と慰めるシーンは傑作。
シリーズものでこれを初めて読んだので、
人間関係が把握出来てないが、
猫殺しの犯人がリーバスだと気付いた
女(リーバスにとって大事な人?)に
リーバスがぶっとばされるシーンも傑作。
ど畜生なんて殺してもいい。
が、どんな人でも殺してはいけない。
薄汚いオカマヤローや強姦魔の方が、
猫よりは尊重されるべき存在であると
思っているリーバスは、
本当に守られるべき弱いものを知ってる本物の男である。
女子供小動物の味方だと主張する男には、
偽善者の臭いがプンプンするぜ!
全てを失っても、
「ローリングストーンズの音楽があればいいさ」
と孤独に戦い続けるリーバスはデラかっちょええ!
脇役にジグソーパズルが趣味の検死官がいたり、
死体や死をオチョクッたギャグもあるのが素晴しい。
被害者の遺族に告知する時、
「ご主人の頭が吹っ飛びました」
と告知したろかい!
と妄想してしまうリーバスがナイスw
“ハリー・ボッシュ”は真面目すぎるよな。
“ハリー・ボッシュ”もストレス解消の手段として
猫殺しを趣味にすればいいと思いました。
"ジョン・リーバス警部"は他の作品では、
どんな猫を殺しているのだろうか?
ちなみに今回殺した猫の名はラッキーです。
歯痛がギャグかと思ったら比喩として昇華したように、
猫殺しにも深い意味を読み取るべきだろうな。
タータンノワール ★★★★★
腐敗した権力と個人の壮絶な戦いを描いて、大げさでなくミステリ史に残る傑作。
安易な予定調和を意識的にさけたリアルな結末でありながらエンターテイメント
としてのカタルシスがちゃんと達成されているという点でも稀有。
タイトルはローリングストーンズのアルバム"Let It Bleed"からの引用。本作を
読んでから次作「黒と青」へと進むのがランキン入門の正しい近道。