新聞記者の目から見た登山史
★★★★☆
著者は信濃毎日新聞の記者として長年にわたって日本アルプスに親しんできた人物。ヒマラヤ登山の経験もある。
前著『山の社会学』に続いて出されたのが本書。従来の登山史研究に意義をなす目的で書かれている。いままでは明治以降の近代的登山ばかりが注目されてきたが、実際には江戸以前から地元住民の登山が行われてきたというのが、著者の主張。丹念に古い記録を掘り起こし、詳細なデータとともに紹介してくれている。
なかなか価値のある本。しかし、従来の登山史研究があまりにひどすぎたのだと思う。本書も、それよりはマシだが、問題も多い。なんでも再評価すればいいというものではないだろう。また、語り口のいやらしさにも辟易した。