日本人初の登山者は縄文人!-登山史の変遷をカバーした一冊-
★★★★☆
何度か山へ登ったことがある人なら辛く険しい山に出会うことがあるはず。そんな時ふと『どうして自分は山に登っているんだろう?』と自問自答したことはないだろうか。先人はどんな思いで山に登り始めたのだろうか?それを知ることから自分が山に登る本当の理由が見えてくるかもしれない。本書は、西欧の登山観の変遷に触れた上で日本の登山観について解説している。登山観にはその土地に住む人々の生活、宗教などが密接に関わっていて興味深い。ちなみに日本で初めて山に登ったのは、縄文人で八ヶ岳南部の編笠山に登ったと考えられている。また江戸時代には富士講、御嶽講と呼ばれる組織を町につくり当時の信仰登山は、大流行したそうだ。現在のような登山スタイルが生まれるのは明治になってからで、日本近代登山の誕生は日本山岳会の影響が大きい。その会設立を機に今日に至る登山観の変遷、登山スタイルの派生などが解説されており実に興味深い。そして最後には著者の新しい登山スタイルの提案も述べられている。山岳に関する名著は数多いが、登山史の全体像を把握したいのなら本書を読むのがおすすめ。その上で名著を読んでみるのも良いかもしれない。巻末には文献リストも載っており読者にはありがたい。本書を読むことであなたにとっての新しい登山スタイルを見つけるきっかけになるかも!