1962年、ジョン、ポール、ジョージ、リンゴという4つの個性ビートルズが英国で正式にデビューを飾る約1年前、米国カリフォルニア産の驚異の才能ブライアン・ウィルソンを中心とした世紀のポップバンド、ビーチボーイズはすでにデビューしていた。
海と車と女の子、カリフォルニアのぬけるような青い空と海をテーマにした、一聴してかなり能天気なサウンド。しかし聴けば聴くほど、涙が出るほどにせつないメロディーと透き通るほどに澄み切ったハーモニーの虜になるはずだ。ブライアンのイノセントでピュアな感性と、ソングライター、アレンジャー、プロデューサーとしての天才的な才能。それがもっとも輝いていた60年代の楽曲を中心に、ブライアン本人が選曲した19曲+新録1曲、全20曲のタカラモノ。(高山武樹)
サーフィンだけがビーチ・ボーイズではない
★★★★★
このCDはブライアンが自分の好きな曲を19曲セレクトし、最後にビーチ・ボーイズの未発表曲を新たにレコーディングして入れたものです。ブライアンは大人しい人なのでバラード中心の選曲になっていますが、このバラードが素晴らしいんです。心が溶けちゃいそうなくらい美しいです。ビーチ・ボーイズは夏だけのアーティストではありません。むしろブライアンのバラードは秋冬にこそお薦めします。心の隙間の寒さをブライアンの暖かい音楽が埋めてくれますよ…。70年代の曲(「ディス・ホウル・ワールド」、「ティル・アイ・ダイ」等)が入っているのも、お薦めの理由です。 60年代のサーフィン・ヒットだけがビーチ・ボーイズではありません。彼等はもっともっと深いグループですし、それを皆さんに知ってもらいたいのです。だからお薦めします…。
やはりブライアン本人の選曲ベストに尽きます
★★★★★
ビーチボーイズのベストアルバム数々あれど、このベスト盤は特別です。なんと!ブライアンウィルソンが自ら選曲したビーチボーイズのベスト盤です。'63年の「サーファーガール」から'73年の「セイルオンセイラー」まで。キャピトル時代~ブラザー時代の名曲が収められています。またアルバムの最後には、これまでブートでしか聴けなかった曲「カリフォルニアフィーリン」をあらたにブライアンバンドにより新録音で収められています。そんじょそこらで売ってるサーフソングだけのベスト盤とはわけが違います。ぜひご賞味ください。
柔らかな波が包んでくれます
★★★★★
ブライアン・ウイルソンの素晴らしい選曲。ヒット曲はもちろん、ペット・サウンズの名曲まで豊かな音色が広がります。澄んだ音、楽しいコーラスとハーモニー、スイートなヴォーカル。軽快さの中にも落ち着きがあって心なごむ今の私のベスト盤です。朝はこのアルバムから始まり、夜はこのアルバムで締めくくって眠りにつくといった毎日も大げさではないほど、いつ聞いても何度聞いても、聞けば聞くほど良くなることうけあい。サーフィンUSAが抜けているのも納得なのですが、時にはあの明るく軽い誘いをなつかしいのも本音です。でも、でも今はこの柔らかな波間に漂っていたい。
夏が過ぎてもまだ聴ける
★★★★☆
40年に渡る活動から1枚のCDを選ぶのは至難のワザだが、近作はあくまでもブライアン・ウイルソンが「02年2月11日の気分」で選んだ、という点がユニーク。海やクルマのビーチ・ボーイズも、ペット・サウンズ以降の良質ポップス系も、バランスよく軽~くなぞってる点は存在価値あり(偏ってるベストが多いのよね)。また、90年代後半に再発されたビーチ・ボーイズのCDはいずれもリマスターで音がぐっと良くなり、本来のコーラスやアレンジの美しさが堪能できるようになったが、このCDもその例にもれないので入門盤にするならお買い得ともいえるね。村上春樹のライナーもムラカミ節炸裂で懐かしい感じがしました。
ま…、ね。
★★★★★
全体でみれば、すごく均整の取れた見事な選曲と言えるだろう。しかし、今までの「夏のサントラ」とは全然違う(でもジャケットは少々「らしく」て残念)。多分自分は買わないけど、ビーチ・ボーイズのことを、「『ペット・サウンズ』は分からないけど、何となく無視できない存在だな」と思っているファンには、格好のオムニバス盤だと思う。これだけでも、ブライアンのやってきた偉業が垣間見えるだろう。この次にお薦めしたい盤は『サマー・ディズ』とか『フレンズ』である。