1969年にリリースされた『20/20』は、ビーチ・ボーイズ本来のアルバムというより、キャピタル・レコードとの契約を満了させるため、あり合わせの音源を寄せ集めたものといったほうが当たっている。皮肉なことに、『Pet Sounds』以降のアルバムとしては最も出来がよく、首尾一貫したもののひとつになった。ヒット・シングルとしては、陽気でノスタルジックな「Do It Again」、カールがプロデュースしたロネッツの見事なカヴァー「I Can Hear Music」が出た。また、ブライアンの弟デニスが「Be With Me」で作曲家としての成長ぶりを見せつけているのは、まさに血は争えないといったところ。それに負けじとブライアンも、ぼう然とするようなアイデアの「Cabinessence」(未発表に終わったアルバム『Smile』のセッションより)、掛け値なしの大傑作「Time Alone」で迎え撃つ。また、悪名高い「Never Learn To Love」も収録。語り草となっているわりには何ということのない小品だが、これを書いたのは何を隠そうチャールズ・マンソンなのだ。5つのボーナス・トラックはこれよりずっと上出来で、とりわけ「Breakaway」は輝いている。(Chris King, Amazon.com)