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もつれた蜘蛛の巣 (角川文庫)

価格: ¥820
カテゴリ: 文庫
ブランド: 角川書店(角川グループパブリッシング)
Amazon.co.jpで確認
これはこれで解るのだが… ★★★☆☆
結婚によって代々結びついている2つの一族に伝わる水差しの行方を中心とした家族絵巻のような物語。
特定の人物が主人公ではなく、その章その章で話題になっている人がその時の主人公、という感じ。
そんな訳で登場人物が多過ぎる、ゆえに話が次々と移り変わり過ぎるのは仕方ないとして、
この物語には良くも悪しくもモンゴメリらしさが非常に感じられた。

第一にある男からある男への急激な気持ちの変化、第二に毒舌という名の陰口・悪口、無神経な噂話の多さ。
結婚までしようとする女の、その男(夫)への愛情が、容姿によって簡単に移り変わるものだろうか。
別の男へ気持ちが変わった訳もその気持ちが元(夫)に戻った訳もいずれも容姿が理由では、どうも不可解だ。
そんな理由で挙式当日に結婚を止めたり、再会した相手の容姿の変化にげんなりしてやっぱりあの人(夫)がいいとなるのは都合がよすぎ。
本来楽しむべきものであるはずの、ベッキーおばを始めとする登場人物達のあまりの性根の悪さにも辟易。
毒舌を掲げている分正直に生きてきたのが売りならば、人を傷つけることをしかも人前で堂々と言い放っても許されるのだろうか。
物語とは言え、非常な不快感を感じた。歯噛みしながらも遺産がかかっているから大人しく言いなりになる連中もまた同じ穴のムジナだが。

この作品ではモンゴメリの特徴である人物同士の容赦ない観察眼や批判、皮肉や皮肉の混じったユーモアが最大限発揮されているのは解るし、
それが素晴らしいと評価されているのも解るし、それを楽しまなくてはいけないのも解るのだが、自分はあまり好感が持てなかった。
同じようなタイプであるレイチェル・リンド夫人の持っていた人の良さのようなものがほとんどの人に無いので、
「口は悪くても愛すべき人物」になっていない。それはまぁ別としても、悪意のある発言が少しばかり多過ぎるし、
スポットをあてた人物も多過ぎて話がごちゃごちゃし、自分がまんまとこのもつれた蜘蛛の巣に引っ掛かってしまった気分(それが作者の狙いだったのか?)。
これだけの人物を描き分け、水差しと遺言の内容がちゃんと大きな伏線になってラストに活かされているのはさすが巧いなとは思うが、
100歩譲ってベッキーおばの存在は容認するとしても(こういう嫌な人物は現実に存在するし)、女達の気持ちの変化に説得力がないのは大きなマイナス。
モンゴメリは好きだが、好きな作家の書いたものなら何でも好きだし何でも褒めるというのは自分には出来ない。
私にはこの作品から『青い城』に感じた爽快さは受け取れなかったし、それなりに面白かったけれど、愛着は湧かなかった。
リアリズムの感じられない、B級ドタバタロマンス小説といった感じ。最初からそう思って読めばいいのかもしれないが。
ユーモアあふれる人物集です。 ★★★★★
登場人物が多くてひるみましたが、60Pくらいからはもうストーリーが気になって目が離せませんでした。巻頭に主な登場人物がまとめられているのも助かりました。ペンハロウ家とダーク家の人々の恋愛話など盛りだくさん。でも決してどろどろしていなくて読み易いです。女性では、ドナ、ジョスリン、ゲイ、マーガレットが印象深いです。本書後書きに二十代のモンゴメリの恋愛話が最短に記されていますが、先に挙げた女性像をすべて合わせ持っていたのかと推測される程女性の感情がリアルに描かれています。また個人的に興味津々な男性はピーターとオズワルドです。この二人は奇想天外で笑える程です。リトル・サムとビッグ・サムも最高にいい味が出ています。(でも感傷的な場面は少年ブライアンの愛猫が殺された場面です。猫好きなのでどうしようもなく悲しい気分になりました。)全体を通して読み終えるのが惜しいくらい夢中になりました。