クロスファイア。
★★★★★
宮部みゆきさんの『クロスファイア』を読んで思い出しました。
眠れなかった
★★★★★
会社員になったばかりのころに出会った作品。まだ読んでいない人がうらやましい。もう夢中で読んで通勤の二時間、昼休み、夜は眠いのにやめられず一気に読んだ。父親の精神支配の超能力の“後遺症”がウマイんだよなあ。跳弾現象だったかな。ある言葉にとりつかれて段々狂っていく過程が怖い。ああ、読みたくなってきた。でも映画はひどかったな。
「火をともす人」にもなりうるのに
★★★★☆
小説は、心的現実を非常に的確に描き出している場合があります。その意味でこの本は思春期の心がどれほど凄まじい状態にもなりうるか、を知るのに本当に有益です。主人公の孤立感、絶望、被害者意識、力への渇望などは、実際に多くの少年少女に見られるものだと思います。
どうして周囲を火で焼き尽くさなければいけないか。そうしなければ自分たちがやられてしまう、と思っているから。どうして超能力を発揮する必要があるのか。ただの能力では、相手に対処できないと、初めからあきらめているから。「やめてください」と何度言葉で言おうとも、相手はどうせ聞きもしないのだから。これは、家族に致命的な暴力をふるう加害者によく見られる状況認識ではないでしょうか。
小説は問題解決には直接つながりません。しかし、ある人にとってどのような物語がリアルであるかを知るためには、大いに役立ちます。
忘れられない逸品
★★★★★
相当昔に読んだ本なのに、いまだに忘れられない秀作。
高校生の時、本屋に平積みされていたこの本の表紙絵とタイトル、
『キャリー』等の映画で知ってるキングの名前に、迷う事なく手を伸ばしました。
学生時代に受けた臨床実験が原因で、
特殊な能力を身につけた両親の元に生まれたチャーリー。
権力によって、無惨に殺される者、
執拗に追われ続ける父と娘。
この本を読んで、「アメリカって怖いな〜。」って思いました^^;。
今では、そう新しくもない設定、ストーリー展開なのかもしれませんが、
この頃は、とにかく斬新な話でした。
今読んでも、あの時の衝撃は、そのまま蘇ってくると思います。
キングの言葉遣いに、どれだか忠実なのかは解りませんが、
深町真理子さんの翻訳は、とても読み易かったです。
(今読んでる、『ダークタワー』シリーズの風間 賢二さんの文章は苦手で、
でもキングの作品だから、頑張って仕方なく読んでます。)
まさか廃刊になってるとは。
処分しなきゃ良かった。
映画にもなりましたが、映像では表現しきれない細かい描写がキングらしく、
絵空事のようには思えなくなり、
幼いチャーリーと父が追いつめられていく様子に、手に汗握ります。
この本を読んだ後は、ひたすらキングにはまっていきました。
追い詰められて追い詰められて、最後にチャーリーが立ち寄った場所。
そこに、希望の光があったと、今も信じています。
見える 見える、映像が。
★★★★☆
映画化されたものを公開時に観た事があるが、それはもう何十年も前。炎の少女チャーリーがその超能力を使い工作員たちをなぎ倒していく場面は、アメリカ映画の迫力あるSFXシーンを観るように、自分の頭の中で映像を思い浮かべながら読んだ。まるで映画を観ているような読書体験だ。キングの筆による描写力がいかに映像的かを思い知らされる。映画ではチャーリーの父親が超能力を使うと苦しそうに鼻血を出していて、カッコ悪いなと思った記憶があるが、原作でも愛する娘を助ける為にまさに命をすり減らしながら超能力を使う父親の姿が、本当にスリリングな見せ場を作りハラハラドキドキ。そこらへんも味合って下さい。