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生き屏風 (角川ホラー文庫)

価格: ¥500
カテゴリ: 文庫
ブランド: 角川グループパブリッシング
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異世界情緒を楽しみたい人はお勧め ★★★★☆
タイトルのまんまです。

書き出しはグロを想像させますが、不思議なほどグロくない。
オチが平たんなので、純粋に異界情緒を楽しめますし、人と
生きる妖怪の心情が十分共感できるレベルで妖怪視点で描か
れています。私も、酒を酌み交わしながら話をしたいです。

ただ、やはりインパクトに欠ける。エンターテイメントとし
て、メリハリの利いた話ではないので、物足りないと思う方
も多いでしょう。

どうも私自身その口で、作品としては☆5ですが、嗜好で1
つ下げます。
軽妙な語り口 ★★★★☆
第15回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作の表題作「生き屏風」を含む3篇の連作短編を収録


加門七海氏の短編に「墨円」という作品がある
この作品も、屏風の怪を描いたものだった
どこか切なさを感じさせる作品であった

一方、「生き屏風」は
どこか軽妙な語り口となっている
県境で里の守り人をしている妖鬼「皐月」
人より遥かに長い時の中を生きる主人公
その為、何処か世間と少しずれている
このあたりが、この作品の成功の秘訣なのかもしれない


日本ホラー小説大賞短編賞を受賞しているが、
ホラーというより、ジャパネスクファンタジーといった趣だ
日本ファンタジーノベル大賞の方が似合いそうな作品だった


また、「皐月」は「布団」という名の馬とともに暮らしている
不思議な娘と馬という組み合わせは、なんか絵になる
そういえば仁木 英之著「僕僕先生」、牧野修著「夢魘祓い 錆域の少女」の主人公達も馬に乗っている
これらの作品にもどこかユーモアが漂っていた
ホラー小説大賞短編賞というと人によっては敬遠しそうだが、 ★★★★★
事実、「馬の首で寝ている」、「起きると馬の首をつなぐ」という書き出しにグロを想像する人も多いが、グロというよりもむしろシュール、ホラーというより、幻想小説といった感じ。昔の民話の持つ恐ろしさや不思議さ、おかしさの雰囲気を新たに作り出したというほうが正しそうな気がする。

「生き屏風」は屏風絵に取り付いてしまった店の主人の亡き奥方が手に負えず、妖鬼である主人公の皐月を呼び出し、物語が進んでいくというわけだが、実は奥方は口調こそ傲慢なものの怪異を引き起こすわけでも、店の物に大きな迷惑をかけているわけでもない。

 ただ、単純に機械のように効率的、営利的に考える人達のせいで、「死んだ後にまで迷惑かけやがって」と邪険にされているに過ぎない。奥方が強気なのでそんなに目立たないが弱者の心が踏みにじられている場所がそこには存在する。
 皐月も嫌々ながら世話を引き受け、シェラザードのように自分の周りの妖(あやか)しの物語を語っていくうちに、実は孤独だった自分が人とのふれあいを持っている事を発見する。
 村の子供達が興味本位で皐月を覗きに来たた時、赤い屏風と話をしていた、というラストはなんだか心の結ばれた同志を見つけた二人のようで微笑ましい。

皐月が語った父親の鬼五郎の、養父の言葉は予想以上に泣ける。ここら辺が受賞のきっかけとなったのではと思えるほどだ。

鬼の俺を育ててて、親の鬼が来て怖い思いすると思わなかったのか
「子供を置いてどこかへ行く親なんていねえ、あれは何か理由があって育てられなくなってあそこに置いたんだと俺は思うのよ」
「今でも寝小便垂れたって構わねえよ、そのほうが愛嬌があっていいかもしれねえ。…最初は犬の子だったが、今はすっかり俺の子じゃねえか」

他に次郎という若旦那を主人公にしながら、再び同じみのキャラクターを配して物語を展開する「猫雪」、

思春期の少女が恋の難題を皐月に持ちかけ、狐妖が登場する「狐妖」を収録。

いずれも印象的な言葉とゆったりとした日本の情緒が作中に存在している。

「生き屏風」は夏、「猫雪」は冬、「狐妖の宴」は春なので、次は秋が舞台になるのではないか。
ホラーではない、幻想小説。 ★★★★★
美しい世界がただ静かに広がっている。
特に何が起こるわけでもなく、日常が過ぎて行く。
恩田陸の「常世物語」や恒川光太郎のような異世界物語かと思ったが、そうではなかった。
当たり前のように自然に妖と人が、距離を保ったまま生活している。
それだけの話なのに、何故か心に染みた。
著者のことは「てのひら怪談」で知っていたが、これこそが代表作であり傑作だと思う。
家守奇譚風の妖怪幻想譚 ★★★★★
菊の姉妹、馬の首で眠る鬼の子、雪になりたがる男、美しい狐の女
感情を失った山の神

時代は明治頃のお話だろうか、蟲師や家守を思われる美しくも物悲しい世界が広がっている。
読んだあとこの本の中の人物達と酒を飲み交わしたり、雑談をしてみたいなと思ってしまった。
不思議な世界が当たり前のように淡々と緻密に書かれている。これは凄い本だと思った。