第1巻とは異なり、落ち着いた雰囲気の第二巻
★★★★☆
4分冊のうちの第2巻。剣と少女と魔法を題材としたSFファンタジー。最近、売れている冲方丁の第2作の文庫化である。
第1巻の最後である戦闘が終わり、つかの間の休息に浸る主人公の少女ベル。アドニスとなにやらいい関係になりそうだったが...
剣や魔法のアクションシーンはあまりなく、第1巻の荒々しさは影を潜めているが、ベル、そしてアドニスの関係と、彼ら自身の自分との闘いが落ち着いた感じで書かれていて、かなり読ませる。
今まで、冲方丁のファンと言っておきながら、あまりライトノベルとか読んでこなかったが、彼の作品はどれも彼らしい世界観やセリフなどがきちんと盛り込まれているので、読む価値はありそうだ。ばいばい、アースもあと2巻。そのあとは、未読のライトノベルも読んでいこうと思う。
早くも息切れ?
★★☆☆☆
全編通しての感想は4巻に書きます。
ここではネタバレしない程度に、2巻の感想です。
1巻よりもつまらなく感じました。
ひょっとして、この後どんどんつまらなくなっていくんじゃないか。という予感を感じた一冊です。
個人的好みによるところが大きいのですが、主人公の仲間が強すぎです。
1巻では、役立たずな奴がそれなりに頑張るところもあったのですが、
今回は、レベルが1上がった、クラスチェンジした、最強になった、って感じです。
元々才能があった的な表現はあるのですが、みんながみんな一個壁を乗り越えると最強キャラになります。
一斉に成長します。みんな一緒に右上がりのグラフです。しかも直線のグラフ。
成長ってそんなん?いや、文章ですから限界があるのは分かりますけど。。。
せっかく、単行本で4冊分もあるのだから、
成長にムラがあったり、逆に弱くなる奴もいたり、
延々弱いままの奴がいたり、と思ったらここで来るかー、とかある方が面白くないですか?
成長には、目に見えるものもあれば、見えないものもある気がするんですが。
結果、力まかせに話しが作成されています。まあ、書き手にはその方が楽なんだろうけど、どうなん?
人の心の機微、微妙な成長過程を描くことのできない筆力の無さかなと感じました。
1巻では、ほどよく使われた万能薬。ここにきて、やばそうな雰囲気をものすごく出してます。
しずかも大きく動く物語
★★★★☆
00年刊行の単行本を4冊に分冊,その2冊目になります.
前作(1作目)の終盤がちょっと壮大だったせいもあってか,
序盤のうちは,その後日談のようなしずかで落ちついた流れ.
ただ,ある『できごと』をきっかけに,物語は大きく動きます.
特に,舞台となる王国の秘密とともに語られたある人物の,
悩み苦しみながら『飲まれて』いく様は,ゾッとするようで,
その間の,主人公とのなんとも微妙な関係がせつなくて悲しげ.
そして,そこからの『再生』と『覚醒』にも興味が沸いてきます.
また,心身ともに傷ついて苦しむ主人公はあまりに痛々しく,
己の内面の変化に戸惑い,その心情を爆発させる姿が印象的で,
仲間とのやり取りも,1巻を読んでいればなおひびいてくるはず.
つづきものながら,1冊ごとにキレイに締まるのも好印象で,
これから先,本作で起きたいろいろがどう影響していくのか,
新たな人物や残されている謎も含めて,期待をさせてくれます.