面白いです
★★★☆☆
こんな作品だったんですね。名前は知っていましたが、ここまで面白い作品だったとは知りませんでした。まずセッティングがいいですね。そして最後のおちも。二人の翁というこの興味深い語りの構図がなければが、ここまで面白く藤原氏の歴史は語ることはできなかったでしょうね。いつもながらの、若干のオヴァーステップ気味の発言こそいくつかありますが、この解説者による解説と現代語訳がニュアンスの理解を助けてくれます。また載せられている藤原氏と天皇の系図は非常に参考になります。問題は、ビギナーズクラシックスのスペースでは、必然的にかなりの部分が割愛されてしまうという事実です。確かにこの文庫版はあっという間に読むことができます。しかし全文を全て読んでみた場合にも、この興味深い構図が最後まで、読者の関心を維持できるかどうか。それはわかりません。
藤原道長の歴史
★★★★★
角川の古典文学シリーズです。主に、平安時代のの藤原道長を中心に書かれています。100歳を超える老人たちが、藤原時代について語るという設定になっていて、面白いです。最高権力者道長礼賛ではなく、道長の人柄を知るエピソードや、当時の政局を皮肉るような面もあり、中々味があり、面白いです。歴史と藤原道長を深く理解するのに良い資料だと思いました。
平安時代をもっと知りたくなる
★★★★☆
<ビギナーズ・クラシックス日本の古典>は、これで6冊目です。とても良い企画だと思います。
興味はあっても、古文・漢文が苦手なので古典はずーっと敬遠していました。従来の現代語訳は、字が小さい、読みの難しい漢字にルビがない、文語体で書かれていて分りにくい、逐語訳で文意が読み取れないものが多かったと思います。
このシリーズでは、文字は大きめで、原文・訳文とも総ルビ付き、訳文はやさしく分かりやすい言葉で書かれていてスイスイ読めます。ただし、全訳は少なく、作品を特徴づける主要な話、作品の輪郭をつかむために必要な話で構成されています。
「大鏡」は平安時代の藤原氏の歴史について書かれたものです。
平安貴族の日常の話のほかに、天皇の権威を利用し政権を掌握するための政略結婚、陰謀を使った政敵の追放、藤原氏の内部抗争などの話もあります。巻末にある天皇家と藤原氏の系図を見ながら読むと、登場人物の関係が良く分かり、興味深く読めます。