英傑が覇権を競う物語
★★★★★
後漢王朝衰退に始まった三国志は、日本でも多くの人々が知っている物語ですが。
陳氏の「中国の歴史」では、英雄や豪傑が力を競う物語としてばかりではなく、その歴史の中での深刻な問題にも焦点を当てています。
数百年に一度ある中国の王朝交代では必ず起こる人口崩壊
王朝崩壊とそれに伴う混乱によって中国の人口が半減以下に低下する現象についても言及しています
三国志の時代にもそれが起こり。
中国は大きく疲弊した事実が書かれています
また、劉備や関羽・張飛に関しても、彼らの活躍ばかりではなく
彼らの命を縮めることになった生涯にわたる彼ら悪癖についても言及しています。
関羽の仇討ちのために魏と呉に戦いを挑んだ劉備のことも、愚行であると断じています
ただ、その一方で、これが劉備の魅力でもあったと書いていますが。
このように英傑がその力を競う、これまでよく知られた三国志の姿だけではなく
その裏にあった混乱についての言及が、この作品の中にはあり、興味深い内容だと思います