秦の始皇帝によって統一される迄の中原の歴史は、その実態が何であれ、「周王朝を宗主国とした封建制社会の歴史」であったはずです。しかるに、周王室を中心に据えてその興亡を描いた作品が余りにも乏しいのは、はなはだ遺憾な次第。たいがいの史書が春秋五覇から戦国七雄へと話題をメイン・ストリームに移してしまうので、たいてい似たような内容の作品ばかりになってしまうのです。もちろん、史料上の制約や歴史的重要度のバランスといった問題があるでしょうが、「周王室から眺めた春秋・桊国史」という様な歴史読み物を繙いてみとうございます。