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西行物語 (講談社学術文庫 497)

価格: ¥1,008
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
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あくまでフィクションとして ★★★★☆
 西行をよく知らないので何か読みたい、著名な作家さんが書かれた本もあるようだけだけど、作家の主観の入っていない西行を読みたいと思っていた時に見つけたのが本書でした。

 しかし、実際に読み始めてみると本書は鎌倉時代に世間に流布する西行伝承や残された和歌を元に構成されたお話=作り物語で、必ずしも事実と一致するものではないことがわかりました。あくまでフィクションだったのです。

 本書の構成は適当な段落で原文を区切り、その後に現代語訳・訳注・観賞と称する解説が付されています。個人的には古典を読むときは高校の古文の勉強ではないので少々わからないところがあっても読み流し、作品の気分というか雰囲気を感じとるようにしているので、本書の構成だと本来まどろっこしいところですが、本書についてはこの構成のおかげで助かりました。「この部分は事実と違う」とか「本来詠まれた歌のシチュエーションではないが原作者が再構成している」といった、丁寧な解説が事実認識に導いてくれるからです。

 原作者は仏教者としてそして風雅の人としての西行を描こうとしたようですが、原文だけでそれが伝わりきれているとは言い難い。あくまで西行を主人公とする物語=フィクションとして読む本です。

 原作だけで評価するなら、星3つからせいぜい3.5といったところでしょうが、訳注者のきめ細かい解説に敬意を表して星4つとさせて頂きます。
花のもとにて春死なむ ★★★★☆
ことしは桜がえらい長持ちしましたなあ。わざわざ花見などはしなかったが、賃貸マンションの植え込みや近所の公園等々でも結構堪能した気がする。関東圏では、満開になった後に台風並みの突風が吹いたのだが、ほとんど散っていなかった。テレビのニュース解説によると、桜花はハチの受粉を終えない限り、滅多なことでは散らないのだそうな。大したものである。

ところで、ここからは推測あるいは臆見だが、これだけ寒い日が続く(三寒四温とは最早言えない極端に寒暖の差が激しい日が一日おきに来る)とハチのほうも動けないのではないか。さらに、去年か一昨年かに話題になったローワン・ジェイコブセンの『ハチはなぜ大量死したのか』に見るように、ハチが激減しているのでは・・・・・。「蜂群崩壊症候群」とやらで、2007年には300億匹のハチがいなくなったらしいし。
ということは、来年は桜も見られない??

ともあれ、中年半ばを過ぎてくると、桜を見ると西行を思い出す、というわけかえ?

<御堂のみぎりに桜を植ゑられたりけるに、同じくこの花盛り、釈迦入涅槃の日、二月十五日の朝、往生を思いてかくなむ。 

“願わくは花のもとにて春死なむその如月の望月の頃”>

西行こと藤原義清(のりきよ)は友人の急逝に接し、世の無常を知り、妻子を顧みず25歳で出家(「恩愛の道を断つ」ために、娘を縁側から蹴り落としたという)。そして、諸国を放浪する生活に入る。
「春死なぬ」と念じるに至る道行には、<懺悔六根浄のためには、三十一字の言葉を口誦む。これ悪心を止めて、仏道を成ずる媒なり>という強い信念を抱いていたようだ。31文字の和歌を詠うことは、煩悩を払い、悪い心を清め、仏の道を修得する手立てであるという。結果として、西行は河内の国、弘川寺でその思いを遂げる。

本書は鎌倉時代に成立した作品で、原文、現代語訳、語釈、鑑賞からなっている。原文もそれほど難解ではないが、丁寧な語釈と鑑賞が読解を助ける。

西行なんぞに感じ入っているとは・・・・若き自分が呆れ返っているやもしれぬ。もう「降りたい」ということであるからなあ。そんなことを考えている場合ではないのだがなあ。降りてくれと思っている人は多いかもしれないが。
それもこれも、ことしの桜が長すぎたから・・・。永すぎた春? いや結構寒いぞ明日も。