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芭蕉紀行文集―付・嵯峨日記 (岩波文庫 黄 206-1)

価格: ¥630
カテゴリ: 文庫
ブランド: 岩波書店
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芭蕉の爆弾 ★★★★★
 嵐山光三郎『悪党芭蕉』を読み、「笈の小文」が気になって読んだ。
 
旅人と我名よばれん初しぐれ

 芭蕉のこの句に対するイメージは変わった。〈芭蕉〉は〈芭蕉〉としての自分を忘れ、ただの〈旅人〉となろうとしていた、風流の人・風雅の人・風狂の人。そんな漠然としたイメージを抱いていた。でも、……

野ざらしを心に風のしむ身哉

百骸九竅の中に物有。かりに名付て風羅坊といふ。

さらしなの里、おばすて山の月見ん事、しきりにすゝむる秋風の心に吹さはぎて、

 などの句や文章は、このイメージを裏書きする。しかし、それだけではなかった。

寒けれど二人寐る夜ぞ頼もしき

 風流も、風雅も、風狂も、吹き飛んでしまう、爆弾のような句だ。

霧しぐれ冨士をみぬ日ぞ面白き

 など、俗な富士に反感を抱いた太宰を思わせなくもない。
 多面体を思わせる、芭蕉の正体は、いったい、どこにあるのか? 芭蕉の魅力に、とりつかれそうだ。


落柿舎、小督の里での文学的日記 ★★★★★
 今も京都の郊外嵯峨にある落柿舎。門人去来の別荘であった。芭蕉は元禄4年4月18日から5月4日までここに滞留した16日間の日記である。古来風雅であるこの地に篭もった機会に、一種の文学的日記を書こうとした。嵐山松尾神社の竹藪の中に「平家物語」の小督の屋敷を見て「うきふしや竹の子となる人の果」と憐れむ句を作る。孤棲の興趣を「うき我をさびしがらせよかんこどり」とも詠んでいるが、多くの門人が尋ねて来たり、消息が届いている。芭蕉は孤独を愛するとともに心の通う門人を愛していた。(雅)