この作品で一番可愛いのは安那ちゃんで、一番良い娘なのは佐々ちゃん
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先日TVアニメ化が発表された、志村貴子が月刊コミックビームに連載している女の子になりたい男の子,二鳥修一と,男の子になりたい女の子,高槻よしのの二人をメインに思春期の少年少女達を描いたコミックの第10巻。
といっても、この巻では物語の展開上、高槻さんの影は薄めになっているんですが...。
前巻では少なからず鬱的展開だったのですが、この巻では少しずつではあるけれど良い方向にいってるようで一安心といったところでしょうか。
そのかわり、年頃の少年だったら来るべき当たり前のもの(でも二鳥君にとっては恐れるべきもの)がやってきたようです。
それにしても、土居君って実は案外良い奴だったんですね(女装姿の二鳥君に惚れているという可能性も否定できないところですが(^^:)。
ま、それはそれとして、この作品で一番可愛いのは安那ちゃんで、一番良い娘なのは佐々ちゃんであることに変わりはないのですけれどね...いや、もちろん個人的にですが(^^:)。
祝アニメ化&コミックス10巻突破!
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「青い花」に続いてのアニメ化決定がめでたい第10巻です。
いよいよ巻数が2桁台に到達しました。コミックス2桁到達はヒットの証とも言えるはずです。
本誌「月刊ビーム」での連載は80回を突破し、もう100回突破も時間の問題です。
ビーム掲載作品では飛び抜けて連載が長期に渡っています。
ここまで連載した他作品はアニメ化もされた「エマ」くらいでしょう。
思えば最近の漫画作品でかつてより増えているなと思われる漫画のジャンルとして
・少女同士の友情・愛情をテーマにした所謂「百合系」の作品。
・女装する男の子をテーマにした作品。
があります。「放浪息子」は後者ですが、何故か他作品は「コメディ調」の作品ばかりで、
軽く読み流せる半面、物語に深みがなく長期連載自体が難しい状態でした。
この作品が同ジャンルの他作品と決定的に違うのは、女装する少年が違和感なく周囲に受け入れられてしまうコメディ系の雰囲気ではなく、
周囲の偏見や差別の視線を当然のように描き、そこから生じる軋轢や対立さえも決して重くなり過ぎず、かといって軽くなり過ぎない
「絶妙な雰囲気の絵柄」で表現している点だと思うのです。
つまり・・・非常に「多くの方のストライクゾーンだ!」ということです。
このジャンルでこのストライクゾーンにボールを投げられる作家は今まではいなかったと思うのです。
志村先生が史上初かも。
だから「物語としての深み」がコメディ調作品とは比べものにならないくらいにあります。
その結果が同ジャンルの他作品を引き離す巻数の実績(他作品は長くても5巻)であり、アニメ化なんでしょうね。
今巻では二鳥君復活への第1歩です。物語は中学2年生の「文化祭」の劇上映へ。
男女が入れ替わってしまう世界で「女の子デビュー」する二鳥君には願ったり叶ったりの状況のはずなのですが・・・・。
一方の女子の面々。
千葉さおり嬢。高槻よしの嬢。佐々かなこ嬢。更科千鶴嬢。末広安那嬢。二鳥真穂嬢も含めてそれぞれが問題を抱えております。
「雨降って、地が固まる」のか?
「内憂外患」な1冊に目が離せないことでしょう。