白い夢
★★★★★
毎巻読むたびに、すごいなあすごいなあと思ってはいたが、
本当この作品はすごい。
とにかくその雰囲気がすごい。もう隔絶されてる。隔離。
もうキャラクターの可愛さが凄まじい。表情がいちいち愛おしい。
絵のタッチも繊細を極め、その脆いほど隔絶された美しい世界に強い憧れを抱く。
しかし決して入ることも近寄ることもできない。
タッチのせいもあるが、もう全てが夢、白昼夢のように感じる。
白い。本当に白い。だから要所の黒の重さは半端じゃない。
一見何も感じないようでもスッと入り込んでくる感じの重さだ。
今巻には最も重い黒のページがある。
白と黒の使い方の絶妙さは抜けていると思う。
本当これほど白い主人公は見たことがない。
そのただただ純粋な思いが純粋な白と黒を生む。
あるページの空と同化しそうな主人公の表現はすごい。
作者の表現力の自在さがどんどん広がっていて驚く。
この毒さえも徹底的に美化される世界は唯一無二だ。
誰か、にとりんに救いの手を!
★★★★★
各巻の表紙を飾る二人、高槻さんとにとりん(二鳥修一)の違いとは何でしょう。
それは女の子が男装することと、男の子が女装することの違いであり。
それは「社会からの視線」の違い。
第一巻から続けて男装と女装を描いておきながら、ここまできつくは触れられなかった、にとりんに向けられる社会からの視線。
今巻では残酷なまでにたっぷり、描かれています。
高槻さんやちーちゃんの男装登校時との違いで、それは浮き彫りにされています。
にとりんだけが〜で。にとりんだけが〜で。にとりんだけが〜で。
全然おかしいことじゃないのに。むしろおかしいのは社会のはずなのに。
にとりんはまだ幼く、社会からの視線をあまり意識してません。若い同級生の女友達の中で暮らしていると、往々にして女装したときに受ける迫害というものを意識しづらくなるものですよね。
でも今巻の騒動で、女の子になりたい男の子のような、社会からマイノリティ扱いされる人々がいつだって視線にさらされて、その行動に対していつだって理由を求められてしまうことを(痛みを伴いながら無理やりに)学ばされたんじゃないでしょうか。
にとりん、ファイトだ!
さて、いつも通り自分のことばかり考えている印象のお姉ちゃんですが、弟にキツく当たりながらも、あんなちゃんに関して(おそらく)優しい嘘を一つついています。
気づいて読み返すと「お姉ちゃん……」ってなります。
探してみて。
なんという神漫画……!
★★★★★
志村先生の『青い花』が大好きで、『放浪息子』も読んでみようと思い買ってみました。
これは久し振りにとんでもない漫画に出会ってしまった!
・「ぼくは… 女の人になりたい かわいい服もたくさん着たい」そんな話です。ストーリーがどんどん進展するので飽きが来ません。
・巻末の7頁のおまけも充実しています。
・『青い花』のような百合は全くありませんが、この切なさ全開のストーリーは『青い花』ファンの方にもマジでお勧めです。泣けます。9巻まで一気に買ってもいいくらいだと思います。
とにかく志村貴子先生のファンなら買って損はしないはず。
自分は寧ろなぜ今まで興味を持たなかったのかと後悔しました。
いろいろなフラグが
★★★★★
8巻と9巻で雰囲気がかなり違う感じがします。なんか切なくなります。
またニ鳥姉も思春期っぽい弟と自分の扱いの違いに悩んでいます。
なによりもアンナちゃんとの別れるフラグがたったとおもいます。ニ鳥弟が学校へ女装で行ったことにより引いたらしく、それでも付き合っているのはお情けという感じが汲み取れます。
それぞれの読み手が緊張を持って読みたい漫画です。
★★★★★
千葉さおりによるアンニュイな人物紹介
→ 巻末まんが「近況諸々1」のコンボが見所です。
千葉さおりという強烈なキャラクターの
目力(めぢから)の強さに参りました。降参です。
千葉さおりファン必携の一冊です。
さて
本編の内容は相変わらず、様々な意味で面白いです。
"ネタバレは避ける方向で"
ページをめくる手に、それぞれの読み手が、
緊張を持って読みたい漫画です。丁寧な漫画です。
しーちゃん、ユキさんのエピソードと、
→ 巻末まんが「近況諸々2」はとってもよかったです。
ほかには
イシデ電さんの巻末まんがのおかげで
志村さんの家の様子が、やや恐ろしいことがわかりました。
あとは、本編でも巻末でも、
瀬谷くんが、いつもかわいそうなかんじがします。