シングル盤を網羅したJBファン必携盤。初級者もこの路線で攻めては如何?
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Hip-O Selectから出ている、「ジェームス・ブラウン・シングル全集」第5巻は、1967/11月リリースの「 I CAN'T STAND MYSELF」から、69/3月の「You Got to Have a Job (If You Don't Work - You Can't Eat)」まで、全43トラック。
個人的には、いよいよ佳境に入ってきたな、って感じ。
「 I CAN'T STAND MYSELF」「I GOT THE FEELIN'」「LICKING STICK」「Say It Loud - I'm Black and I'm Proud」「Give It Up or Turnit a Loose」「Soul Pride」など、馴染みの曲が並ぶ。
JBという人は、いわゆるアルバム・アーティストではなかった。
彼の膨大な「オリジナル」アルバム群を眺ると、過去の収録曲を平気で再録したり、異なる録音年代のものを適当に寄せ集めたり、ヒット曲が出来るとそれをメインにLPを捏造してしまったり...
録音年代順、セッションごとに音楽を聴く作法が理にかなっているかどうかはともかく、一般的なリスナーにとってJBは鬼門というか暗黒大陸というか。
したがって、本作のようなデータ満載の「シングル全集」は、とにかく重宝する。
彼は非常なビッグネームで、とにかくLPがバンバン出されたものだから、アルバム・アーティストではないといっても、実は、シングル・オンリーのテイクは意外と少なかったりするのが、本全集シリーズで判明した。ただ、本作は時期的にオーバーダビングやエディットが横行しており、初期に比べ比較的貴重なテイクが満載だ。ドイツ盤シングルのみのオルタネイト・テイクなんてのもあるし。
とにかく、珍しい写真や、セッションごとのデータがジャズ・アルバムなみに完備されたブックレットを調べているだけでも、時間が過ぎていく。
本作は一通りJBのオリジナル・アルバムを蒐集済みの上級マニアのみならず、いがいと初級者向けでもあるのではないか? とりあえず、本シリーズのみをずっと買い求めていけば、主だったナンバーをほとんどダブリなしに年代順に聞けるのだから...