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むずかしい愛 (岩波文庫)

価格: ¥630
カテゴリ: 文庫
ブランド: 岩波書店
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主役不在の語り口 ★★★★☆
 12の短編を収めた連作。特別な人間は登場せず、どこにでもいる人々の視点が扱われます。〈何か〉に飢えて、その〈何か〉が不明。
ちょっとした出来事や出逢いによって簡単に日常から非日常へと跳躍する様をシリアスでありながらエロチックな味付けで描きます。
愛の欠乏感を複眼的に捉え、小説的な妙技で再現してみせる作者。根底には、素直に表現することができない人間愛がたくさんたくさん
仕舞われているような気がしてなりません。
寡黙な人々の愛と人生の物語。 ★★★★☆
イタリア文学の巨匠カルヴィーノのさまざまな人々の折々の人生を綴った連作短篇集。本書には、タイトルに込められた微妙なニュアンスで愛について、時にユーモラスに、或いは哀感を込めて表現された全部で12の短編が収められています。全編に渡って、ある〜の冒険という題名で統一されており、それぞれが味わい深い人生を感じさせる結末になっています。

『ある会社員の冒険』では、ある奥方と不倫の一夜を過ごした主人公が朝帰りで幸福な気分でいるのですが、会社へ出勤し仕事に忙殺される内に段々と気が滅入ってしまい・・・。『ある近視男の冒険』は、最近心楽しまずにいた男が、原因は目が悪い為だと気づいて、眼鏡を掛ける事で大きな喜びを得ます。そして、彼は久し振りに懐かしい故郷へ帰るのですが・・・・。この話が私には一番身につまされて哀れみを感じました。『ある詩人の冒険』では、ある島に出掛けた詩人の男と友人の美女の話で、詩人は深く思索する性質なので単純に喜びを表現する女を素直に理解出来ずに、次第に気分が陰鬱で重苦しくなって行きます。

どの物語の登場人物達も皆とても寡黙で長い間、沈思黙考して優柔不断で次の一歩が踏み出せない人ばかりです。でも、私にはそんな人生に無器用な人達だからこそ愛おしく思えて、どうか気を取り直して、もう一度がんばってと応援したくなるのです。
日常のなかのときめき、そして戸惑い ★★★★★
すべてに「ある○○の冒険」という題名がつけられた12編からなる短編集。
イタリアの市井の人々の日常をかすめていくときめきと戸惑いが彼らの「冒険」として語られていく。
人妻の、会社員の、夫婦の、詩人のおかしくそして悲しい奮闘ぶりに彼らへの愛おしさが、ポッと湧いてくる。