もちろん、きれいでロマンチックなハッタリというのもある。切ない後味のハッタリもある。まったく謎めいたハッタリもある。カルヴィーノ氏の尋常じゃなく豊かなイマジネーションに色塗りされた宇宙史という名のハッタリに、いちいち付き合って一緒に遊ぶのは純粋に楽しい。
しかし。今回は「楽しい」からもう一歩踏み出してみます。どうも私には、Qfwfq爺さんの語るてんでばらばらのハッタリが、共通する「あること」をそこはかとなく暗示しているような気がします。「それは具体的になんなのだ?」と詰め寄られても私はモゴモゴと口ごもるしかないのだけれど、とにかく「何か」あるような気がするのです。12のハッタリ話の真ん中に(きっと)ハッタリではない重要な何かがあるはず・・・。
私はそんなことを考えて、持てるわずかばかりの想像力をフルに稼動させながら、何度もこの本を読んでいるのですが「何か」が何だか未だにわかりません。
「我こそは」と思う方、ちょっとやそっとの想像力じゃびくともしないこのハイパーなSFに挑戦して、ぜひ謎を解いてみてください。