タイトルの通りの美味しい本〜
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著者は、北海道・旭川にあるパン屋さん・ベッカライ麦々堂でパンを売りながら、北の生活を楽しんでいる。そのようすは、前著『カムイブロートの食卓』で、素敵な写真とともに本になって届けられ、私のお気に入りの1冊となった。
待ち遠しかった新刊『野のごちそう帖』は、著者が描く大地の香りのする絵がカラーで折り込まれていて、またまた美味しい話、おもしろい話、豊かな話、ホェ〜ッと思うことが盛りだくさんな1冊となっている。秋の夜長に、美味しいお茶を片手に読むには最高の本!
メリハリのある北国の四季と著者の感性にうっとり
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とても楽しく読みました。仕事の合間に読んでしまい、何だかもったいないような気がして、もう一度ゆっくり読んでみようと思う一方で、最初に一気に読んだ感激が良いのかなとも思いました。こんなに素敵な本は何らかの手段を使っても、もっと広く世に知らしめるべきですよね。単純な私は直ぐにでも北海道に移り住みたいとか、こんな風にメリハリのある四季を生きてみたいとか思いました。
心に羽が生えるような
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前著『カムイブロートの食卓』から、この著者のファンです。移住した北海道で天然酵母パン屋「ベッカライ麦々堂」をはじめ、そこに至る経緯やパン屋開店とともにはじまったドタバタ暮らしを書いた『カムイブロート〜』は、当時、都会で仕事三昧で、“暮らし”に飢えていた私には涙が出そうに魅力的な世界でした。その後、ときどきパンを注文したりして、次の本を心待ちにしていました。
2冊めの『野のごちそう帖』は、北国の四季をとらえるみずみずしい視線と、茶目っ気のある文体に、いっそうしっとりと深みが加わって、『カムイブロート〜』とはまた違った味わいがあります。静謐な世界から、畑や蜜蜂飼いをともに楽しむ仲間とのくいしんぼう世界をいったりきたり。
たとえば、夏の朝の描写。
「早朝、林の中を、エゾリスが駆け抜けてゆく。蜘蛛の巣に朝露がついて、きらきらとビーズのように輝き、カワセミが池の上をメタリックグリーンの残像を残して横切ってゆく。早朝は魔法の時間だ。」
こんな一文を読むと、ほんとうに私の心にも羽が生えるような気がします。
いつか、こんなに自然に、いのちの四季とむきあう、そんな暮らしをしてみたい。