販売店に配送される配達されない新聞の実態
★★★☆☆
本書は、古くから在った、新聞業界の問題の一端を露わにした良書です。
著者は、元・朝日新聞の理事で、自らを振り返り、新聞販売店のコンサル
タント的役割を担う「担当員」、新聞社と販売店の架け橋、そして新聞社の屋
台骨を支える黒衣だと自賛します。しかしながら、私には、生のお客に接する
ことなく、単に親会社からの販促費を餌に拡販目標のみを命じるメッセンジャ
ーボーイにしか認識できませんでした。
しかし、一番驚いたのは、新聞社から販売店に、実際に宅配される部数を
遥かに上回る部数の新聞が半ば強制的に押し込まれている実態です。云わ
ば販売部数の水増しです。販売部数は、広告掲載料を左右する基礎数値な
ので、この虚偽は大問題です。昨今、企業の有価証券報告書の虚偽記載が
問題になっていますが、この問題にはどのように釈明するのでしょうか。