メディアの闇を感じる
★★★★☆
大手数社の新聞社がテレビも含めて世論を支配している現状を鋭くえぐった良書。
既得権益にしがみつく人たちを活写している。
何かこの本を読んで日本は恐ろしいなと思った。
海外もメディアはこのような構造なのだろうか?
政治や金を報道するなら、自分達の利権主義を何とかしろ
★★★★★
新聞と言う不可解なビジネスモデル。環境問題に取り組む新聞社が環境破壊を起こしているとは。新聞社とテレビのつながりは、「電波利権 (新潮新書)」と合わせて読むとより分かりやすい。政治や金を報道するなら、自分達の利権主義を何とかしなければ、語る説得力が今の日本のメディアにはないなと思った。
内側から見たビジネスモデルとしての新聞社
★★★★☆
テレビ・出版をはじめとする旧来のマスメディアの没落を伝える声に枚挙の暇は
ないが、そのなかでも特に深刻だといわれているのが、新聞ではないだろうか。
本書では、毎日新聞の取締役まで務めた著者が、内側から見たその「終わった
ビジネスモデル」を詳細に語っている。
なるほど、読者が自ら情報を取得できるインターネットの普及は、広告収入など
の面でたしかに新聞社に大きな打撃を与えたことは否めないが、もともと根本に
あるのは、新聞というビジネスモデルそのものが以前から抱えていた「病巣」に
あることは間違いない。門外漢の僕にとって、もっとも興味深かったのは、そんな
ビジネスモデルの根幹にあるのは著者自身「泥沼」と評した販売部門を解説した
第二章だ。
販売店と新聞社は単なる親子関係のように思えるが、内情はまったくちがうこと
がわかる。両者は「部数至上主義」をはさんで互いが互いを困窮し合っている、
なんとも複雑なのだ。そこで仕組まれるのが、詐欺まがいにも見えるある「カラク
リ」なのだけれど、詳しくはぜひ本書を手にとってみてもらいたい。
他にもテレビを各新聞社が丸抱えした「つけ」がこの多チャンネル時代に回ってき
ていることや、旧態依然にどっぷり居座っていたがゆえに、ネットビジネスに乗り
遅れた「鈍獣」とかしてしまった新聞社の悲哀も垣間見える。もちろん悲観に暮れ
るばかりではなく、著者自身の打ち出す業界再編構想も飛び出しているが、これ
また壮大で、政界と同じく実現できるかは不透明だ。もはや全国紙という「大きな
物語」に乗ってくれない読者には、「カスタマイズ」した新聞が配信される時代なの
かもしれないが、それによって国民国家にどういう影響が加わるかもわからない。
今月28日ついにipadが日本に上陸する。新聞の没落と「ネットの民主主義」の繁
栄がそう簡単に進行しないだろう。ただ一点、いえることは「変わらないものは終
わる」、これである。
新聞を経営の側面からみた本
★★★★☆
私は、新聞などメディアについて「記者クラブ制度」や「客観報道」のあり方など、取材や記事の側面からの本はそれなりに読んできましたが、「ビジネスとしての新聞」に関する本はあまり読んだことがなかったので、本書を興味深く読みました。
この本は、新聞社のさまざまな側面をまじめにきちんと書こうとしており、しっかりとした内容の本です。
中でも、私は次の点が印象に残りました。
(a) 広告収入を拡大・維持するための販売部数拡張は、ITの普及、人口減などの環境変化によって困難になっていること。部数拡張競争は、極端な拡販体制や「押し紙」を生み、業界をいびつなものにしていること。
(b) 少数の大新聞がテレビ支配を進めたことで、これまで、多様なジャーナリズムが生まれにくい体制が続いてきたこと。そして、現在は、そこにインターネットなどの新しい通信手段が入ってきて、今後が見通しにくい時代になっていること。
ただ、参考になる部分は多いものの、私は著者(もと毎日新聞常務取締役)が「『毎日新聞が存続できる仕組み』に力点を置きすぎ」と感じました。
(読売、朝日の2社寡占ではメディアの多様性が今以上になくなることは理解できるものの)、メディア全体の質向上と毎日新聞の発展は必ずしも直接の関係があるわけではなく、その点をもう少し整理した上で執筆すべきだったのでは?と思います。
新聞は何を与えてくれるのですか?
★★★★★
新聞が果たす役割とは何か。
権力と化してしまった今こそ、
もう一度考えなくてはならない。
新聞は私たちに何を与えてくれるのですか?