戦後、日本占領下ではなくなり、中国から助けがやってきた！という喜びを
味わったであろう台湾の人々の思わぬ苦難が書かれています。この著者（原作）
の方は、本省人（中国大陸の人々）の政府に翻弄された台湾の人々の中でも、
ご家族を殺された被害者の方です。鉄道に乗るときに切符も買わない、
それを咎められると銃をつきつける兵士たち、教壇で痰を吐く教師など、
台湾の人々には考えられない生活態度のだらしなさ、傍若無人ぶり、それに対して、
たまらず暴動が起こったものの暴力で鎮圧。そして未来ある若者たちが次々
連れ去られては殺された、という台湾の「新たな苦難の時代」の様子が生々しく
書かれています。同胞と思うからこそ、辛かったろうと想像します。

内容が充実しているだけに、作画のレベルがもう少し高いといいのですが。

※手の甲に針金を通すというとんでもない「拘束のされ方」については写真と図版と
両方ありますが、気の弱い方は正視に耐えないかも知れません。少し心の準備を。