原作の濃密さには負けたか
★★★★☆
この巻の後半「いつしか年も」では、卒業式の進行とともに、卒業する3薔薇さまによる回想シーンがふんだんに出てくる。それを含めて、キャラクターの表情の描写にグッと引き込まれる点は高く評価したい。
しかし、如何せんこの巻は原作の内容が非常に濃密で、それを1冊の漫画に全部詰め込むことは残念ながらできなかった。読者を引き込む感情描写も、裏を返せば「文章のみから場面を想像する楽しみ」が減ってしまうという諸刃の剣だ。
また、この段階では志摩子の謎めいた言動の真相は明らかにされていない。せめてあと2巻、「チェリーブロッサム」「ロザリオの滴」(と、あとはオリジナルストーリーや「ショコラとポートレート」「Answer」あたりでページ数を埋め合わせて)を出してほしかったと思う。なにしろ、ここまでの8巻での志摩子の挙動は丸ごと「チェリーブロッサム」への伏線となっているのだ。(原作『レイニーブルー』のカスタマーレビューでの拙文参照。)
そこで総合評価としては星4つとしたが、最初1冊だけの予定がここまで続けられたことには心からエールを送りたい。
清々しさと寂しさと
★★★★★
コミック版完結。内容、構成ともに文句なしです。読み終わった後、とても切なくなりました。個人的に先代三薔薇様のファンであり、こちらまで、卒業の場面にいるような感覚になりました。その上、この巻が最終巻ということで寂しさ倍増です。出来ればもっと続けて欲しいと思うのですが、最初はコミックは小説一冊分しかコミック化しない予定だったそうです。それが、四年間、八巻目まで続いたのですから、良しとしないとね。でも、寂しい。長沢智先生、お疲れ様でした。これからも応援しています。
終わっちゃったよ…。・゚・(ノД`)・゚・。
★★★★★
漫画版マリみて最終巻。
初代三薔薇様卒業で終了とは少々早い気もします。寂しいですね。
しかし一区切りのタイミングとしては適切でしょう。
今巻には『Will』及び『いつしか年も』が収録されていますが、少々厚めの装丁に、濃い内容のお陰か、物足りなさは皆無。長沢先生は本当に構成が上手いんだなぁ、と感心させられっ放しの全8巻でした。
妙にこざっぱりとしていた令さまや、随分と毒が抜けてしまった三奈子さま等、絵柄に関しては最後まで一定しない感が否めませんでしたが、徐々に独自の色が出てきた筆感やデフォルメ具合、時折加えられるオリジナルエピソードは読んでいて楽しかったです。
コミカライズ作品としては、文句無しで成功と言える作品でしょう。
でも、長沢先生の描く瞳子ちゃんも見てみたかったなぁ…