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東京公園 (新潮文庫)

価格: ¥460
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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北海道出身者の温かさ ★★★☆☆
 はじめて小路幸也の本を手にしました。
 登場人物はみな幸せな人たち。特に主人公は、幼い頃母の死と父の再婚という経験をしながら、葛藤や屈折を抱えずに中途半端な今を満足そうに生きている。彼の周囲は彼に好意を寄せる人たちばかりで、彼を傷つける人はいない。
 彼に妻の写真を依頼するサラリ−マンと女友だちだけは、自分の現状に不安や葛藤を抱いているが、やっぱり幸せな環境に生きていて最後には何となく収まるという筋書き。
 確かにイメージできるのはどしゃ降りで誰もいない公園ではなく、ポカポカと温かいぬくぬくとした公園の芝生である。
 作者も主人公もいかにも北海道出身という印象の物語。かくいう私も北海道在住です。
途中の日々を描いた物語 ★★★★★
完璧な物語。
優しくあたたかく、読み手の心の中にすっとはいってくるような、そのような小説を久し振り
に読んだ気がする。
青春の一時期、途上にある若者達の姿をノスタルジー豊かに描いた小路幸也のこの作品は、間
違いなく極私的ベスト本の上位にくるだろう。
こんな感じ方をするのは私の学生時代の体験や現在のポジションに類似するところが多いこと
も影響しているのだろうが、この短い200ページあまりの作品が最近になく稀な深い感動を
与えてくれた。

「まだ、僕達は途中にいる。
それは常に歩いていないと、どこかへ向かっていかないと使えない表現だ。」


カメラマン志望の圭司は、ひょんなことから頼まれて、写真を隠し撮りすることになった人妻
の百合香さんに淡い恋心を抱く。一言も言葉をかわさない淡い関係を中心に、圭司をめぐる友
人や家族のエピソードが描かれる。
映画好きの幼なじみ富永、イラストレーター、ミュージシャンなど多彩な才能を持つヒロ、血
の繋がっていない姉、咲実。
圭司の生活に登場する人たちは皆やさしく、あたたかい。
人生の苦味、葛藤、衝突などはあえて書かれず、事件は起きない。
なにげない日常のなか、唯一百合香さんを、隠し撮りすることだけが普通とは違うことだ。
その百合香さんがでかける公園がとてもいい。
天気の良い日、2歳の娘といっしょに手をつなぎながら歩く。その後を追いかけて写真に収め
る圭司。
公園は家族連れや、昼休みのサラリーマンで賑わっている。明るい光のなかを黙って歩く百合
香さんはとても孤独に見える。

途中の日々。
若い時代に通過する何ものでもない、何になるかも決めていない、でも、何かに向かって歩き
続けているという確信はある、そんな時期。
その奇跡のような一時期を、きちんと切り取って、手のひらに乗せてくれた。
作家という仕事の魅力ってこんな感動をあたえちゃうことが出来る、そこなんだろうな、と思
う。


最後に、すべてがピタリとはまるパズルのような、心憎い一文がありました。
ちょっと歳のいった映画ファンなら、わかると思います。
そんな洒落た楽しみ方もできる作品です。
散歩に行きたくなります。 ★★★★★
美しい5月にぴったりの本です。
なにげなく、表紙に惹かれて買ったのですが、中身も本当にいい。
家族写真を撮影するために、公園めぐりをする大学生の圭司、同居人のヒロ、
義理の姉など登場人物がみんなちょっと心に傷を持ちながらも優しく、相手を大事にしている
感じがとても素敵です。
登場してくる公園に行ったら圭司が撮影してそうな気がしてしまう、そんな小説です。
いい!! ★★★★☆
すごく透明感のある作品でした。
圭司とその周りにいる人たちがいい人ばかりで
『昔ワルかった』と言うヒロという青年も出てきますが、
気持ちはとてもピュアな人ばかりで
読んでて清々しい気分になりました。
悪人が出てこない分、ちょっと物足りない気もしましたけど。

東京には年に何回か行きますが、
人の多いところに行きがちで
この本を読んで、
今度はこの作品に出てくる公園めぐりをしてみるのも
いいんじゃないかと、思えてきました。

結局恋愛物と言うより
家族との繋がりを思い起こさせる作品でした。
そこが良かったのかもしれません。
自分のために生きつつ
誰かのために生きられたら
幸せなのかもしれないな〜。
心がぽかぽかする一冊 ★★★★★
なんだか読んでると自分が陽だまりにいるような気持ちになれる小説です。
大きな事件は何もおきないけれど、登場人物が日々の生活の中でそれぞれ
悩んだり恋したり失恋したりする様子が、よんでいて本当に心地よかった。
主人公は写真を趣味している大学生の圭司。彼が頼まれた奇妙なアルバイトが
メインのストーリーになっていますが、なんといっても最高だったのが、
圭司の友達の富永なる女の子の存在。この女の子、なんだかめちゃくちゃ変わってるんだけど
ものすごくキュート。今度は彼女が主人公の小説が読みたい!って思うくらいに
気に入りました。