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愛の重さ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

価格: ¥882
カテゴリ: 文庫
ブランド: 早川書房
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ハンセン病に対する時代的な認識 ★★★★★
愛を一手に独占する赤ん坊の妹に対して、死んじゃわないかと思った姉。
それでも、火事のときに、夢中で助け出そうとした人間性。

人間の性格はなかなか直せないが、
愛されることによって変わるかもしれないという望みは残った。

愛するときの重さと、愛されるときの重さの、性格が違うことが分った。
どちらか一方では、手抜かりなのだということを感じた。

ps.
解説において、ハンセン病に対する時代的な認識の限界について断りがある。

原作を書き換えると、時代的な認識の限界が分からなくなるので必ずしも書き換えは必要はないが、最低限、解説では言及がある。




人を愛するとき  ★★★★★
人を愛するって 難しい 運命の人を見つけることも 難しい でも 可能性はない たとえそれが どんな 試練を伴っていても と 感じました
タイトルは重い感じですが ★★★★★
実は意外と読みやすいという事を、まず初めに挙げておきたいと思います。家族関係、兄弟、姉妹関係、恋愛関係、結婚関係等の人生に於てだれもが多少は内包するだろう問題が、軽妙な会話調の文体の中でどんどん深いところへと肉薄していきます。人間の最も深いところを読み解き、且つ物語りとして完成させた、なかなか凄い一冊です。僕は高校生の時、これと同じくクリスティの純文学系作品、「春にして君を離れ」を読み、かなり衝撃を受けました。興味のある方は、この2冊とも読まれるのも個人的にはオススメです。
再評価されて然るべき、純小説作家としてのアガサの業績 ★★★★★
今回、この作品を最後に、アガサの愛の純小説シリーズ全六作品に初めて接して、痛切に感じたことがある。アガサの純小説作家としてのこれだけの実績が、なぜこれまで、もっと評価されてこなかったのだろうか?

アガサは、長編ミステリの第一人者として培ってきた、読者の好奇心、集中力を最後までそらさないミステリのプロット作りの技を純小説にも巧みに取り入れており、類い稀なストーリーテラー振りとあいまって、いずれの作品も、ミステリ作家の余技どころか、並の純小説作家を凌駕するレベルの作品に仕上げているのだ。

当初、これらの作品が、メアリ・ウェストマコット名義で出版されたという事実の裏には、アガサ自身に、「アガサ・クリスティー」というブランドを外したところで、純粋に作品自体の内容だけで、純小説作家としても評価されたいという願望があったはずと思うのだが、その後、こうしてアガサ作として再出版されてきたことによって、「ミステリ作家アガサ・クリスティー」というあまりに絶対的なブランド力が、その正当な評価を阻んできたのだとしたら、大変残念なことではある。

さて、この作品だが、アガサは、プロローグで、いきなり、兄と妹だけに強く向けられた父母の愛情と、それを敏感に感じ取った姉が抱く深い悲しみと憤り、残酷なまでに妹に向けられた子供らしいストレートな嫉妬心を描いており、姉の心情が、痛いほど、読者の胸に突き刺さってくる。アガサは、出だしから、読者の心をわし掴みにしてくるのだ。

この物語は、「愛すること」と「愛されること」、「愛されることは、重荷を背負うこと」をテーマに進んでいくのだが、アガサは、この作品でも、ミステリ仕立てのプロットをベースに、どんでん返しの結末を用意している。ある意味では、アガサは、「愛」をメインテーマとしながらも、このシリーズでも、ミステリを書き続けていたと言えるのかもしれない。