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暗い抱擁 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

価格: ¥714
カテゴリ: 文庫
ブランド: 早川書房
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解説を読んで ★★★★★
探偵ものでないので、なぜだろうと思いながら読み終わって、
解説を読んでわかりました。「アガサクリスティ」の作品でないことを。

「メアリ・ウェストマコット」の第4作とのこと。
The Rose and the yaw tree.
というのが原作名とのこと。
内容からすると、こちらの方がピンと来ます。

作り、心理描写は、アガサクリスティものだという理解で読んでいて、違和感はありませんでした。

死に対する態度、人間に対する態度など、アガサクリスティの本質的なところがより強調されているような気もしました。
ある聖女の物語? ★★★☆☆
いつイザベラという、やや謎めいた感じのする女性の本心が
わかるのかとひたすら読み進めましたが、
とうとう最後まで、彼女という女性が掴めないままでした。
まだゲイブリエルの方の気持ちは、理解できなくもないのですが
彼女の方は全く理解できませんでした。
ゲイブリエル初め、その他の人々は存在しそうな人々ですが。
それに比べてあまりにもイザベラが浮世離れし過ぎているというか、
非現実的な人物造形で。



なぜクリスティーが、このような女性像を創り上げたのだろう?
としばし考え込んでしまった程です。
しかしテーマが「キリスト教的博愛をテーマに描く至上の愛」の
ようなので、やはりイザベラという、果たして実在し得るのか?と
思ってしまうような女性が、
この物語では実在していたと素直に読むべきなのでしょう。
イザベラの人物造形に、リアリティーを求めてはいけない小説なのでしょう。


しかし、やはりイザベラのこのような人物象や、
ほとんど彼女の内面の吐露のようなものが見られないため、
大変に彼女への感情移入が難しく、
感動もできませんでした。
言うなれば、まるでどこかの教会で、
ある聖女の物語を聞かされたような気分です。
私にとっては、イザベラ自身が一番のミステリーでした。
やはりキリスト教徒の人々の方が、すんなりと感動できる話の
ような気がしました。クリスティー自身も気に入っている作品のようですし。
かなりキリスト教的色彩が濃い小説のような印象を受けました。
人の心はミステリ ★★★★☆
人の心の何と計りがたいことか。そして、人の心の真相が、見る人によって様々に違って見えることの不思議さ、不可解さ。本書を読み終えて、まずそう思いました。
殺人事件などが起きる訳ではありませんが、人の心はミステリといった意味合いで言えば、『春にして君を離れ』同様、何とも味わい深く、強烈なミステリです。

事故によって、身動きがままならなくなった男性、ヒュー・ノリーズ。彼が、コーンウォールの町で過ごした時に出会った人たちの行動や言動を、傍観者の立場から書き記していった第二次大戦下での記録。その記録の中から、ジョン・ゲイブリエルという男と、ファム・ファタル(運命の女)の役割を担うひとりの女性の姿が、生き生きと眼前に描き出されていきます。
なぜ、その時、そういう行動をとったのか? 本人にも定かでない、しかし、そうせざるを得なかった心の不可解さ、計りがたさが、ヒュー・ノリーズの記録を通して、読者の前に提示されます。この辺のクリスティーの筆致の精妙さ、おぼろげだったものが徐々に形を整えてくるプロットの力強さは、実に読みごたえがあるなあと唸らされました。

ラスト一行に込められた意味深さ、その衝撃も、かなりのものがありました。結構くるものがありましたね、このラスト一行は。

クリスティーが、メアリ・ウェストマコット名義で発表した1947年の小説。
原題は、The Rose and the Yew Tree 「薔薇とイチイの木」。

人は、人をどれだけ理解しているのか ★★★★☆
「春にして君を離れ」に続いて、読み終わった。第一印象は、この本のテーマは、すごく深くて難しいということだった。
「人は、人をどれだけ理解しているのか、どこまで理解できるのか」という深淵なテーマが横たわっている。

「春にして君を離れ」の、「自分は自分をどれだけ知っているのか、理解しているのか」というテーマと対をなす作品として書かれたのかも知れない。

この物語の語り手であるヒュー・ノリーズが語る、ゲイブリエルという男性とイザベラという女性。話の大部分は、ノリーズによって淡々と語られ、最後のゲイブリエルの2回の語りの中で、物語は一気の結末を迎える。と同時に、読み手は再び導入部のプレリュードに戻らざるを得ない。

ノリーズの語りが淡々としすぎていて、結末までたどり着くのが危うくなりかけた。この作品は、最後まで読んで、初めて、価値がわかる作品であることは強調しておきたい。

お勧めします。 ★★★★★
クリスティの長編はすべて読破したと自負していた私ですが、こんな恋愛小説があったとは知りませんでした。もう、素晴らしいとしかいいようがないです。あらすじを書いてしまうとおもしろみがなくなってしまうと思うのであえて何も書きませんが、絶対お勧めします。一人の女を心から愛してしまったために全く変わってしまった男の人生を、その女を愛していた別の男の視点から描いた作品です。あとがきに書かれているとおり、最初の「つかみ」が絶妙すぎる。それに引っ張られて最後のページまで一気に読んでしまいました。最後の数ページでは思わず涙が出てしまったほど。多分何回も読み返すことになりそうな深みのある作品です。