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未完の肖像 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

価格: ¥924
カテゴリ: 文庫
ブランド: 早川書房
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自伝読了済みの方は読まなくても可 ★★★☆☆
なぜタイトルにこのような事項をつけたかといいますと
自伝と描写が重なる部分が
いかんせん、多いのです。
それは読んでいると必然的に目に付いてきて
思わず「何じゃこりゃ」となってしまうことでしょう。
よって自伝読了の方は読まなくてもいいです。
せいぜい違うところは最後ぐらいなものなので。

この作品は女性の心を
非常によく表現した作品です。
信心深い少女時代、
そして音楽家の夢を持ちながらも
言語で躓き、心折られる学生華々しき時代。

メイン部分は愛の部分です。
そりゃあロマンス小説ですから、
そうでなければ困りますものね。

そしてすごく同感だな、
と感じたのは男性の選び方、
でありましょうか。
何で女性ってええ格好をする男に
惹かれるのでしょう、そして泣かされるのでしょう。
女性のもろさ、を非常によく表現しています。

ただし、自伝と違うのは
結末部であります。
それと結末前の心情ですね。
でもこれはきっと女史の本音なのかも
知れませんね…

人生がうまくいかないということを
教えてくれる、
すごい1冊です。
が、自伝を読んだ人は
読まなくてもかまわない本です。
メアリ・ウェストマコット ★★★★★
メアリ・ウェストマコット名で書かれた小説は、どれも面白い。
アガサクリスティの本を数十冊読んだ後で、同じ作者だということを知っていて読んでいるからかもしれない。
特に、アガサクリスティの自叙伝を読み、アガサクリスティの一生を知ってから、メアリウェストマコット作の作品を読むと、どれもアガサクリスティが登場しているように読める。

マープルものの「ミスマープル」、ポアロものの「アリアドニ・オリヴァ」、トミー&タペンスの「タペンス」など、アガサクリスティの分身は多い。
アガサクリスティの分身を見つけることが、アガサクリスティの作品の楽しみ方の一つになっているかもしれない。

アメリカ出身の親、イギリスでの生活、
結婚、出産、失踪、離婚、再婚、中東への発掘調査への随行など、
アガサクリスティの作品には、自分の経験が十分に反映されているように思う。



アガサのノンミステリも、なかなかのものだ ★★★★★
「未完の肖像」というタイトルには、いかにもミステリを連想させる響きがあるが、この作品は、当初、メアリ・ウェストマコット名義で出版された、アガサの愛の小説シリーズの一作である。並み居る巨匠たちの中でも群を抜いたストーリーテラー振りを見せているアガサなら、その筆力は一般小説の分野でも十分通用するだろうことはある程度予想できたが、実際に触れたアガサのノンミステリも、なかなかのものである。

アガサの愛の小説シリーズの中では、一般的には「春にして君を離れ」の評価の方が高いようだが、砂漠の真ん中で、延々と自分自身と向き合う一人芝居を見せられている趣きのあるこの作品よりは、日常のエピソードを題材に、主人公のその時々の感情を木目細かく描いた「未完の肖像」の方が、ずっと感情移入しやすく、ストレートに心に迫ってくるものがある。

この作品は、冒頭で、自ら命を絶とうとする主人公シーリアと、それを察して思いとどまらせようとする通りすがりの画家の出会いが描かれた後、時計の針が一気に逆回転し、シーリアの幼少期から冒頭のシーンに向かってさまざまなエピソードが綴られていき、最後に、このタイトルの意味が明らかとなる構成となっている。

ちなみに、この作品には、アガサ自身の実体験を投影していると思われるエピソードがしばしば出てくるが、特に、少女シーリアが、人を傷つけたくないばかりに誰にも本心を話せず、ただ泣きじゃくり、「助けてちょうだい!」と訴えかける心の叫びに、母だけが気付いてくれたときに、泉のように湧き上がってくる母への愛に触れたくだりとか、少女シーリアの想像の産物である「あの子たち」に役を割り振って、空想の世界でひとり遊びにふけるシーンには、まさに内気でデリケートな少女アガサそのもののエピソードが描かれているとしか思えないリアルな生々しさがある。