小さな、永遠。
★★★★★
夏目漱石の『夢十夜』を読み返しました。
続けて2回、読みました。
「こんな夢をみた。」という書き出しの、
超短編小説を10個集めた作品です。
3ページから4ページの、ごく短い作品ばかりです。
短いけれど、どれも、「永遠」を感じさせます。
「夢」を語るふりをして、漱石は、
日常にぽっかりと穴を開けてみせた。
穴の向こうに、永遠が見える。
そして、さりげない手つきで、小さな器に、
その永遠を閉じ込めた。
わたくしは子どものころから、この作品の中毒です。
いまや偏愛の対象です。
漱石の長い作品は読まなくなっても、
『夢十夜』だけはずっと、読み返すだろうなと思います。
掌編小説を書く、後輩(わたくし)からすれば、
ヘタクソだけど、偉大な作品というか、
わざと、ヘタクソに書いている凄みを感じます。
で、ほんとうに、わざと、なのが、凄い。
ここはケチらず!
★★★★★
映画見れますが。
ケータイで読めますが。
青空文庫からひっぱれますが。
それでも敢えて、本めくって読むべきクオリティ。
これぞ文学。
…だからだから、ケチらず新潮でなく岩波で読んで欲しい逸品。
といいつつケータイにちゃっかり入ってますが何か。
ぼんやりもわり感が、タイトルを裏切ってなくて
そのマッチ具合とか、さっすがソーセキセンセイ。
まさに夢の世界
★★★☆☆
夢十夜は話にもよりますが、雰囲気がよく良いです。
純愛を書いた第一夜、わが子を捨てに行く第三夜が特に好きですが、
中にはわかりにくいものもあったような…
全体的になぜかぼんやりしてて、いい雰囲気です。
夢十夜
★★★★★
夢独特のぼんやりした雰囲気が作品全体を包みます。
最近夢を見なくなった自分には就寝前の愛読書です。
百年の愛を描いた第一夜、自分の赤ん坊を捨てに行く
男の恐怖を描いた第三夜、運慶が仁王像を彫る第六夜
…どれも不気味かつ不可思議な夢です。
お気に入りを見つけるも良し、漱石が見た夢の謎を追う
難解さに溺れるも良し、自身が夢の世界に浸るも良し、
しかし所詮は夢、ぼんやりして思い出せないくらいが
乙でしょう。
理性的な夢
★★★★★
第六夜。私が運慶・快慶が仁王像を彫刻するところを見物しにいく話が好きである。
芸術の真髄が語られるだけでなく、ユーモアも織り交ぜて最後のオチまでついて、掌編の小説ながら珠玉の一遍といってもいい作品である。