野球好きの読者の心をほんのり暖かくしてくれます。
★★★★☆
野球を題材にした作品は過去にも何作品もありますが
草野球を題材にした・・・作品となるとあまり記憶にありません。
性別、キャリア、国籍、年代、時代までも越えた9人による草野球チームのお話です。
ナインひとりひとりのストーリーが野球に絡めてとつとつとした調子で語られていきます。
ドラスティックな展開や、ドライブ感のあるストーリー展開とは違う
ゆるゆる、しみじみしたテンポがこの作品の味であるように感じました。
私は戦友のグラブを持ってグラウンドへ出かけていくセカンドのストーリーが好きでした。
こういう深さの掘り下げと、こういう種類の味付けならば
テレビ向きかもしれませんね。
野球好きにはオススメです。
スポーツ好きという方は文庫になってからでも読んでみて下さい。
スポーツ小説が苦手な人にも読んでほしい!
★★★★☆
野球好きの9人が集まった草野球チーム「ジンルイズ」の活躍を描いたスポーツ小説。
しかし、そのメンバーは、老若男女入り混じり、最高齢は81歳。
そして、チームの方針は、勝ち負けは二の次で野球を楽しむこと。
普通のスポーツ小説ではあり得ないような設定が、この作品の魅力です。
メンバーが様々な事情を抱えながらも、野球を通じて解決への糸口を掴んでいくという展開や、ファンタジー性を持たせているところも、一般的なスポーツ小説と一線を隔しています。
登場人物が生き生きとしていて、読者も楽しく読み進めることができます。
読み進めていくうちに、「これほど一生懸命になれる何かがあったら、楽しいだろうな」と思うと同時に、勝ち負けにこだわることへの疑問も湧いてきます。
もしかしたら、スポーツ小説が好きな人には物足りないかもしれません。
却って、「スポーツ小説は苦手」という人に読んでみてほしいです。