ん?ファンタジー?
★★★★★
一見すると現実世界なので
ちょっと待てよ?と思ってしまうかもしれません。
でもさりげない冒険がファンタジーということで。
他の小説では見ることの出来ない
写真がふんだんに出てくる作品なのです。
しかも鉄塔にも特徴があるということを
知ることが出来るのでこの本を読むと
たぶん鉄塔を詳しく見てやろうと思う
気持ちが出てくるに違いありません。
ただし残念なのはこの作品は
写真が完全に掲載されていないこと。
もし完全版を求めるなら
ソフトバンク文庫版をお勧めします。
鉄塔、鉄塔、そして鉄塔。更に鉄塔。
★★★☆☆
帯に記されていた【愕然、唖然,呆然―前代未聞の小説誕生】はまさに本当でした。
二人の少年が独自のルールを自身に科し、憑き物に取付かれたように真夏の日差しの中を鉄塔巡りの小さなたびに出る話です。
私も子供の頃自転車を乗り回し小さな旅にでた事を思い出し、心温まる思いをしました。ですがそれは最初だけで、読めど進めど鉄塔鉄塔鉄塔で、少し難儀しました。
鉄塔フェチというのも注目すべき点だとは思うのですが、私はそれよりも、恐らく大人に成った主人公が子供の頃を回想した形式という点でした。「」で記された会話は子供のそれなのですが、それ以外の所に使われている言葉使い一つとってみても明らかに大人のもので、そのギャップが私をほくそ笑ませました。
鉄塔に対するこれだけの知識、そして根気というか情熱。この小説は半分以上は作者本人の実体験なのかも知れません。少なくとも私はそう思います。ラストは流石に違いますがね。
なおこの作品は【第6回(1994年)日本ファンタジーノベル大賞】受賞作です。
膨大な写真が単行本とはまた違った味わいを醸し出している
★★★★☆
番号のついた送電線の鉄塔を、
81番から1番まで逆に辿ってゆく、ただそれだけの話。
ファンタジーの要素などかけらもない日常の風景、
「鉄塔」を主役に据え、ゴールが見えている冒険を扱いながら
かくも私たちの中の「少年」を揺さぶられる手腕は
(女性の方すみません)見事と言う他ない。
正直鉄塔のディテールを81本分読み続けるのは
一種の苦痛である。しかし今だから下らない、と言える
何かに拘った事のない人はいないのではないだろうか??
大人顔負けの知識と、未成熟な自我とのアンバランス、
その青さが瑞々しい。
このソフトバンク版は、単行本とラストが違う文庫版の本文に
作者が本来は挿入したかった写真を全て収録した完全版。
ファンタジー色が廃されたラストの味わいと、
膨大な写真が単行本とはまた違った味わいを醸し出している。
私たちの中の「少年」を揺さぶられる
★★★★☆
番号のついた送電線の鉄塔を、
81番から1番まで逆に辿ってゆく、ただそれだけの話。
ファンタジーの要素などかけらもない日常の風景、
「鉄塔」を主役に据え、ゴールが見えている冒険を扱いながら
かくも私たちの中の「少年」を揺さぶられる手腕は
(女性の方すみません)見事と言う他ない。
正直鉄塔のディテールを81本分読み続けるのは
一種の苦痛である。しかし今だから下らない、と言える
何かに拘った事のない人はいないのではないだろうか??
大人顔負けの知識と、未成熟な自我とのアンバランス、
その青さが瑞々しい。
ただ、「日本ファンタジー大賞」にふさわしいラストの処理に関しては
賛否両論はあろう。私はあまり拘らないが。
鉄塔おたくの存在を知らしめた本ですが
★★★☆☆
読み始めて、おおと思いました。
鉄塔おたくなんているとさえ思ってなかったですから。
しかし、すぐに退屈になってしまった。延々と鉄塔を辿るだけで、大した事件が起きるわけでもない。
小学生時代にこんなことがあったな、くらいにしか感じることができなかった。
でも、無理に話を大きくせず、あくまでも鉄塔を辿ることだけに注力しているのは、どこか
爽やかさも感じさせてくれた。
ラストはどう考えてもありえない。
でも、ファンタジーノベル大賞だから、いいのではないでしょうか。