好きになれた
★★★★★
もともと、ベートーベンの交響曲は、苦手だったのですが、「のだめ」の影響もあり、この盤を購入しました。
この指揮者の力量なのでしょうが、第七番は、リズムが崩れずに、演奏されており、また、第八番は、チャーミングな演奏になっていると思います。
「今更、ベートーベンなんて・・・」と思っている方に聴いて頂きたい作品です。
実演と録音の差はいかんともしがたいが
★★★★☆
第7・第8ともに、迫力ではなく美しさを取った演奏。したがって、たとえばフルトヴェングラーなどのような演奏を期待している人には薦められない。美しさについても、第7であれば、私の場合NHKホールで聴いたデュトワ/N響の演奏が最高の思い出として残っているので(あのときの美しさは異常なほどだった)それに比べると見劣りはする。とはいえ、CDの演奏としては十分合格点だ。
ウィーンフィル最盛期のベートーヴェン
★★★★★
イッセルシュテットは20世紀を代表するドイツの指揮者である。フルトヴェングラーやべームなどの影に隠れてしまっているが、正統的な解釈で定評があった。残された録音は多くはないがどれも高い評価を得ている。とりわけバックハウスとのベートーヴェンピアノ協奏曲全集が名高いが、晩年のウィーンフィルとのベートーヴェン交響曲全集も素晴らしいものである。この当時が最盛期であったウィーンフィルの響きもさることながら、質実剛健ともいえるイッセルシュテットの指揮も素晴らしい。第三番、第五番などは健康的だがすっきりしすぎて若干物足りないとも感じたが、ここに収められている第八番は文句なく素晴らしい。この交響曲は彼の交響曲中最も短く地味な曲で地名度が低いが、故岩城宏之氏がこの曲は派手さはないが緻密にできた曲だと評価していたように、ベートーヴェンの革新的な語法も所々あるといえ、それらが全体に調和してコンパクトにまとまっており破綻がない事も事実である。しかし決して第七番とは正反対の曲ではなくむしろ第七番のようにリズムを主体とした双生的な曲である事には変わりはない。またこの曲はテプリッツの温泉寮養地で構想が練られたといわれ、ここでベッティーナ・フォン・アルニームを介してゲーテとの歴史的な面会があったと伝えられる。シュトゥルム・ウント・ドラングを超えて古典主義的理想に達していたゲーテから影響を受けこの古典主義的形式の交響曲を作ったのかもしれない。イッセルシュテットの演奏は昔から評価が高く、彼の決してリズムは重苦しくはならないが芯のある響きと適切なテンポ感、そしてウィーンフィルの美質が見事に発揮されている。この曲を知らない人もあまり聴かない人もぜひ一度聴いて欲しい。
素晴らしい名演
★★★★★
ベートーヴェンの交響曲は、奇数番号は男性的、偶数番号は女性的と形容されているが、私は賛成しない。
ベートーヴェンの交響曲は全て男性的、それも男の戦士だと私は思っている。べートーヴェンの偶数番号の交響曲には確かに女性性はあるが、本物の女性のそれではない。精々で、「美人の誉れ高かった母君の面影を遺す美男子」という程度の女性性である。
この演奏は、それを充分に伝える名盤だ。第8番のスマートな凛々しさは正統派ウィーン・スタイルの響きと共に、我々の魂の芯までしっかりと届いて来る。
イッセルシュテット
★★★★☆
イッセルシュテットを聴いて、まず思うことは楽譜の読みが深いなということです。弦なども良いんですが、内部の音がここまで鮮明に聴こえる演奏も少数ではないかと思います。7番の一楽章では、初めの一音から厳格で重厚な音が奏でられており、展開部までの地を踏みしめるような、重々しさは、一楽章の新たな一面を私自身見つけたような感じがしました。2楽章などはイッセルシュテットの独壇場とでも言うのでしょうか、ものすごい、遅いテンポで、ベートヴェンの指示のテンポとは大幅に違いますが、ゆっくり、確実に、ものすごい情熱を秘めた2楽章で、後は、そのような感じでフィナーレに持ち込んでいます。8番は名盤といわれていますが、まさにその通りでコンパクト且雄大な演奏で、隅々まで決めの細かい、『どこの部分が素晴らしく、良い』という感じではなく、全体を通してのトータルバランスが優れているように思えます。これは、聴き終えた後の満足感に現れる現象として私は受け取っています。