王道はスタンダード・スタイルから
★★★★★
ベートーヴェンの「運命」と言えば、クライバーの指揮したCDがすっかりお馴染みとなってしまった。私もクライバーの演奏は好きだが、あれは異端的な名演で、スタンダード・スタイルとしてはこのS=イッセルシュテットの方を推す。
適度な重厚さ、抑え目な甘美さを伴った男らしさ、オールド・スタイルの面目躍如である。古楽器派の名演による様々な物も色々とあるだろうが、ベートーヴェンの交響曲演奏はS=イッセルシュテットをこそ聴いてスタンダード・スタイルについてのイメージを確立してから様々な演奏を聴き比べして見る事が王道だと、私は確信している。
このアルバムでは「田園」とセットで、ひょっとしたらこちらの方が名演かも知れないが、まあそれはそれ、古きよき日のウィーン・フィルの音色をじっくりと御堪能あれ。