典雅な紳士、温かいヒューマニスト
★★★★★
印象的な批評ですが、タイトル通りです。久々に素敵なベートホーフェンでした。
ひたすら美しいヴィーナーの音、まったく嫌みのないストレートな優しいダイナ
ミックスにアーティキュレーション!! たぶん、今の時代には、こんな奏法はもう
ないのでは・・・というぐらい、あり得ない演奏ですね。2番がとりわけ素敵ですね。
お勧めできるベートホーフェンはなかなかありませんが、イッセルシュテットなら文句なし!!
ぼくは高校生の時、このコンビの5番を学校の音楽の時間に聞かされた。いまにして
思えば素晴らしい体験でした。それはまた今度聞きます。きょうはこの2番を車の中で
2度聞きました。40年も前なんだなあ。冷戦華やかなりし頃、ヴィーンではこんな音が鳴り響いていたんですな。やれやれ、感慨深いです。
オールド・スタイルの醍醐味此処にあり
★★★★★
ベートーヴェン第4交響曲は「ギリシア乙女」等とよく呼ばれるが、これが大作曲家シューマンの言葉でなかったら、必ずや「不適切な表現」として早々に忘れ去られていたはずだ。
現実のベートーヴェンの交響曲は全曲が男性的、それも男の戦士である。その力強さは、本当に可憐なシューベルトの第5交響曲辺りと聴き比べると如何に男性的か、よく分かるはずだ。ただ、「英雄」や「運命」が女装も似合わない無骨なムキムキなのに対し、第4、「田園」、第8のそれは、「美人の誉れ高かった亡き母君の面立ちを遺した美男子」のそれなのだ。
この演奏は、そうしたベートーヴェンの偶数番号交響曲の本質を非常に良く浮き彫りにさせている。スマートなダンディズム。第1以上にベートーヴェンが自己のスタイルを明瞭にした第2も合わせて、この地味な作品を品良く聴かせて呉れる名盤だ。