伝説のギターの神様ジェフ・ベックを“移り気”と呼ぶのは、この言葉に公平ではない――そして伝説そのものにも。この熱狂的なベッコロジー最新作はルーズなテクノ指向の三連祭壇画に思える。先輩たちと作ったのだが、もちろん月桂樹の冠をつけているのはギタリスト本人。とにかく、彼は『You Had It Coming』のプロデューサー、アンディ・ライトとのコラボレーションを続け、スプラッターセルのデヴィッド・トーン、アポロ440の協力で意外性のあるすばらしい音を得て、本作品はベックのもっとも迫力があり――意図的に変化したとしても――音楽の将来の衝撃を集めたアルバムのひとつとなっている。上品でオーケストラがバックについた伝統的なフォークの「Bulgaria」、内省的な小休止の「Line Dance with Monkey」そして「JB's Blues」を聞いてみよう。このギタリストはここでは伝統的な情景には関心がないように聞こえ、代わりに独創的な動乱を生みだしている。この世のものとは思えないメタリックな音色、そして聞き慣れない様式のギターを鳴らすとがった「Trouble Man」、催眠術効果のあるグルーヴ「So What」、そしてトーン風のメロディックなミニマリズムの「Plan B」。「Grease Monkey」と「Hot Rod Honeymoon」では、アポロ440が遊び心いっぱいに、ベックの悪名高い車フェチぶりをレトロなサンプルの皮肉な音の折り紙にして、緊張感のあるエレクトロのリズムを聞かせている。後者はベックのネオ・カントリー風の比類なきスライド奏法がハイライト。この曲はビーチ・ボーイズのドライヴ曲を真似たようにも思えるが、その喚起力には伸すタリジックは皆無で、ハードエッジのある雰囲気になることも多い。このアルバムは“ベック・トゥ・ザ・フューチャー”とサブタイトルをつけるべきだった。(Jerry McCulley, Amazon.com)
tr. 1から「So What」な心意気! 立ち止まらないJeff Beckの意欲作!!!
★★★★★
2003年、Jeff Beckのアルバムです。
テクノ3部作の第3弾アルバムになります。
今回は、テクノに収まらないです。
バックは、テクノ、ドラムンベース、ダブ系からアンビエントなものまで、
その上を、Jeffのギターが、ロック、ブルース、フュージョン、スライドギターと、縦横無尽に駆け巡ります。
ぶっ飛びものの「攻撃的なギター & テクノ」な、tr. 1
Grammy賞・Best Rock Instrumental受賞の、tr. 2
「官能的なギター & アンビエントなサウンド」の対比が素晴らしい、tr. 9
オーケストラとの共演で、とてつもなく感動的・叙情的なギターを聴かせてくれるトラッドソング、tr. 12
。。。あたりが、気に入っています。
(従来のファンには、後半にいい曲が集中していると思います。)
なお、プロデューサーは、前作同様、Andy Wright。
ゲストで、APOLLO 440, Dean Garcia, Tony Hymas etcです。
「Jeff Beckファン」向けのアルバムです。
また、テクノ3部作を初めて聴く人には、「Who Else!」から順番に聴くのをオススメします。
(「Jeff Beck初心者」には、オススメしません。)
当時、還暦目前にして、1曲目から「So What」!。。。その心意気! すんばらしいです!!!
(参考)
日本盤は、ボーナストラック2曲「Take a Ride (On My Bottleneck Slide)」「My Thing (David Torn Remix)」収録。
日本盤・初!のボーナストラックです。。。Thank You, Jeff!!!
どこまで行くのですか
★★★★★
この人はどこまで進化し続けるのでしょうか?まったく衰えが感じられません。他の二人ととんでもないことになっているのに。
デジタル路線の到達点的作品
★★★★★
03年発表。前作同様にアンディライトがプロデュース/プログラミングで参加した作品だが、デヴィッド・トーン(g)ら多数のゲストが参加しているのが前作とは大きく異なる。前作以上にハイテンションな1.は完全なインダストリアル・ロック。刺激的だが華やかなサウンドは一瞬にして引き付けられること必至。2.はデジタルなサウンドの中に肉声のようなファットでコミカルなギターを組み合わせた佳曲。哀愁を帯びた楽曲のせいもあってかギターが泣いているかのように聞こえる。4.はファンク/ヒップ・ホップ的な曲だが、ゴージャスなストリングスが美しく響く。
俗に三大ギタリストなる言葉があってベックもその中の一人なのだが、他の2人が大きな成功を収めたのを契機にして自らの焼き直しに終始しているのに対して、結果としておいしいところを持っていかれた格好になってしまったベックの場合は安住の地が得られずいつまでも彷徨っている感がある。しかしながらそれが彼の革新性の源になっおり、全く老いることなくそしていつまでもカッコ良さを失わない原因なのだと思う。(今の3人を並べてみても一目瞭然) やっぱりギターの神様はベック以外に考えられないなぁ・・。
国内盤には「テイク・ア・ライド」、「マイ・シング」の2曲がボーナス・トラックとして追加されているので注意。
このアルバムを
★★★★★
作る年齢とは思えない位若々しいと思います。
曲もエグイというか、意表をつかせてくれる展開が多く楽しめるアルバムです。
3部作最終章。次はどんな事に夢中になっているんだろう?
★★★★★
Jeff BeckはすでにJeff Beckとして出来上がっているのだから、還暦を過ぎた彼の作品に"失敗"だの"駄作"だのというのは無いのだと思う。「今ボクはこんな音が面白いと思っているんだ。」という神様からの"お便り"である。
このアルバムが世に出てから5年以上。存在自体が時間を超越している彼の音もまた、古くも新しくもなく存在感を持って"解る人間にだけ"魅力を放ち続ける。長い彼の歴史を見ると、Who Else!/You Had It Coming/Jeffは明らかに連作である。意図して連作となっている訳でなく「その時期その音に興味があった」という神様の気まぐれである。
ターニングポイントとしては、ヤンハマーとの出会い。そこで電子楽器とギターサウンドの融合の可能性を見いだしたのだと思うが、当時はきっと神のお眼鏡にかなう音が無かったのだろう。90年代後半になってやっと神のギターと渡り合える電子音が聴ける様になり、先の3作が出来上がった。で、この"Jeff"で一通りやりたい事はやったのかな?と思える。
次の神様の興味の向かう先は見えないが、どんな便りが届けられるか楽しみである。