別れ
★★★★★
コーヒーをつぎ、タバコに火をつけてくれたら、あとはぼくについてすべてを忘れてくれ―妻を殺したと告白して死んだ友人からの手紙にはそう書かれていた。彼の無実を信じ逃亡を手助けして私立探偵である主人公には、心の残る結末だった。だが、別の依頼で失踪の理由を探るうちに真実に辿り着く…。
「さよならをいうのはわずかのあいだ死ぬことだ」
本当は外国の小説はあまり好きじゃない。
★★★★★
もう何度も読み返してる…。
この『長いお別れ』でチャンドラーを知った。
他の作品も全部読んだ。
でもこの『長いお別れ』にはとても叶わない。
正直、背景描写などが面倒くさいって思う時もある。
でもセリフが圧倒的にかっこいーんだよ。
ストーリーがどうのこうのは言わない。
そこにいるマーロウが格好いいんだ。
喧嘩なんか弱くたっていい。
友達ってなんだろう。
約束を守るってなんだろう。
全ての子供達に読ませたい。
It's A Man's Man's Man's World.
★★★★★
「いっしょに寝ることにきめた」
「お金が目当てなのね」と、彼女はいった。
「シャンペンはおごったぜ」
「シャンペンなんか、なにさ」と、彼女はいった。
気の利いた台詞を吐くためには、
説得力のある身体と行動力が必要だなと思った。
男同士の友情の話。
大好きな本です。
男の友情に惹かれる
★★★★☆
推理展開はそれ程、スリリングではないけど、ラストの主人公との友情のシーンは痺れる。マーロウの生き方がいかしてる。
元祖ロング・グッドバイである。
★★★☆☆
元祖である。ロング・グッドバイである。
現在巷で溢れている赤と黄色の、拳銃の表紙の、アレである。
アレの元祖である。
僕は10年ほども前に、本書を読んでいるのだが、正直全く内容を忘れてしまっていた。
今回、例の赤/黄/拳銃本を読んだ後、本書を再読したのであった。
ムラカミ版のあとがきにおいて、本書の訳については、若干「細部を端折って」いるとのことであったが、それほど気になるモノではなかった。
ムラカミ版との比較を厳密にするほどの野暮はしておらず、原書との突き合せは一部やったのであるが、確かに比喩や挿入文の一部は訳出されていないトコロもあるにはあった。しかし、同時に「アレ?ここ端折ってる?」と当たってみると意外にちゃんと言葉を拾っていたりして、「しっかりやってるじゃん!」てなことも少なからずあった。
要するに、訳の端折りは、読むに当たってはほとんど問題にならぬということ。
また、やはりムラカミ版が出た「キャッチャー・イン・ザ・ライ」や「グレート・ギャツビー」で強く感じた、訳文の同時代感の喪失というか、要するに「元祖・野崎孝版」の訳文に感じられた古色蒼然たる賞味期限切れ感はなく、「まだまだ、このままでもイケるジじゃん」てな感じであった。
映画の字幕も書いていた訳者によるあとがきも洒脱で良く、1976年という文庫版の発行時期の「時代の空気」がそこはかとなく感じ取れて楽しい。
1988年に亡くなった訳者は、今回のPlay Back「ロング・グッドバイ」をあの世から、どのように見ているのだろうか?