カナリアのシスリーBとインコのチッチ
★★★★★
もう大学を卒業するばかりの長女が、小学校に入るときに小鳥を「飼いたい」(我家ではこの表現は禁句で「一緒に生活したい」)と言い出したときにインコを家族に加えました。最初からつがいでシスリーBに当たる「チッチ」と、このお話の「イエローバード」は、我家では最初から一緒でした。
この物語では4個の卵が生まれますが、我家では、3個の違いはあるものの、その後、次々と、子供が増えて、我家では最盛期に13羽のインコがおりました。部屋を閉め切って、22畳ほどあるリビングに話してやったときの興奮は忘れられません。
その約15年前、このターシャのクラッシックコレクションが我家にありました。長女は、もちろん英語を読めるわけはないのですが、この絵本を理解していたようでした。
ターシャの挿画の持つ説得力に驚いた記憶があります。
その後、次女が中学に入るときにコーギーと暮らしたいと言い出し、我家には、今、コーギーがいます。家族の一員です。
今、クラッシックコレクションが日本語版で復活して、本当に良かったと思います。
幼い子供たちの成長とこの物語とコーギーは、完全にリンクして、我家は、今のようなターシャ「ブーム」以前にその世界をなぞっていたと思うと幸せというべきでしょう。
ところで、我家のシスリーBとその子孫たちは、残念ながら、現在は、我家にいません。悲しい話ですが、昨年までに寿命を全うしました。
今はコーギーの「マロン」が人間以外の家族の一員です。このほかに長男の求めた「亀1号」「亀2号」という安直な名前の家族がおります。
この物語は、我家の歴史の一こまのようで、他の方々にも共有してほしいと思うのです。
幼い兄妹と二匹のカナリアと人形の家をめぐる心温まるお話
★★★★☆
幼い兄妹トムトムとエフナーが飼っているシスリーBはどこにでもいるカナリアではありません。紅茶のカップの中で温められた五つの卵から無事に孵ったたった一羽のカナリアです。陽気でハンサム、水浴びが大好きで、自由に飛び回ることができるカナリア。
ある日、おばあさまがやってきて、シスリーBにとても素晴らしい贈り物をくれました。シスリーBのお嫁さんです。エフナーはイエロー・バードと名づけました。イエロー・バードは人形の家が大好き。
人形の家は、作者であるターシャ・テューダーが幼い頃、大切にしていた「パンプキンハウス」がモデルとなっているのではないでしょうか。バスタブもテーブルも食器類も何もかもが人間の家と同じように揃っています。食器や飾りのお花や家具調度類が細やかに美しく描かれていて、夢のようなミニチュアの世界にいつの間にか入ってしまいそうです。
「ターシャ・テューダクラッシックコレクション」の一冊。幼い二人と二匹のカナリアと人形の家をめぐるあたたかいお話です。